呼吸器外科から研究に関するお願い
臨床研究へのご協力のお願い

2020年2月9日

東京医科大学茨城医療センター呼吸器外科では、下記の臨床研究を東京医科大学医学倫理審査委員会の審査を受け、学長の承認のもと実施いたしますので、研究の趣旨をご理解いただきご協力をお願いいたします。

この研究の実施にあたっては患者さんの新たな負担(費用や検査など)は一切ありません。また個人が特定されることのないように患者さんのプライバシーの保護には最善を尽くします。

この研究の計画や研究の方法について詳しくお知りになりたい場合や、この研究に検体やカルテ情報を利用することを了解いただけない場合などは、下記の「問い合わせ先」へご連絡ください。ご連絡がない場合には、ご同意をいただいたものとして研究を実施させていただきます。

研究課題名
咽頭・喉頭・気管狭窄症に対する全国疫学調査
研究の背景と目的
気道狭窄をきたす疾患は、先天性に生じる喉頭狭窄、炎症性疾患、外傷や悪性腫瘍などにより後天性に生じる喉頭狭窄、先天的な気管形成不全や気管軟化症に伴う気管狭窄などがあり、その原因は多岐にわたっています。
軽症例は去痰剤、気管支拡張剤、ステロイドや酸素の投与等で経過観察されますが、重症例では呼吸困難をきたし急性期に気管切開、気管挿管などの気道確保や狭窄部位の切除などの外科治療を余儀なくされます。外科治療奏功例においても、切除範囲が大きい場合は再建手術が必要となり、皮弁や耳介軟骨・鼻中隔軟骨など他臓器からの移植片を用いた複数箇所に複数回の外科処置が必要となり、患者さんへの侵襲はとても大きくなります。これらの外科治療によって気管切開部が閉鎖できたとしても、喀痰排出不良から気道感染を繰り返し、気管の再切開が必要となることも少なくありません。また、これらの外科治療をおこなっても狭窄部位のコントロールが得られない場合には気管切開孔の閉鎖は難しく、声が出せない、入浴に制限が生じる、いきめない、嗅覚障害をきたすなど、患者さんの生活の質を大きく損ないます。
小児期の症例では、医療的ケア児として通園や通学にも支障をきたすことが社会問題化しています。更に、適切な時期に適切な治療を受けられないと致死的となり得る疾患でもあり、実際、気管狭窄症に罹患している児童ではその死亡率は2.4%に上ります。気道狭窄をきたす疾患は小児慢性特定疾病の対象疾病となっています。特に小児における気管狭窄症に関しては全国登録がすでに行われており、小児慢性特定疾患治療研究事業(小児慢性事業)の全国登録状況によると、気管狭窄症での小児登録者数は平成21年度457名であるのに対して平成23年度には775名と増加傾向にあります。平成28年より小児慢性事業の登録疾患に咽頭狭窄、喉頭狭窄が追加されており、数年後にはこれらも含めた気道狭窄小児患者の実咽頭・喉頭・気管狭窄症に対する全国疫学調査態が明らかになってくることが期待されます。
しかしながら、成人も含めた咽頭・喉頭・気管狭窄症に関する大規模調査は未施行であり、本邦における気道狭窄患者の小児期から成人期にかけた実態は不明の点が多くあります。また、先天性気管狭窄症は指定難病に追加されたものの、咽頭・喉頭狭窄はいまだに指定難病とはされていません。そもそも咽頭狭窄症は診断基準もまだ曖昧であり、喉頭・気管狭窄症はその病態が明らかではない非常に稀な疾病であるため、各施設で取り扱われている症例数も少なく、治療内容も施設や医療者により異なっています。さらに疾患の自然歴、重症度別の予後や外科治療の有効性などに関する本邦での多数例の検証も行われていないため、正確な実態も不明です。適切な診断のもと適切な治療が開始された症例の予後は決して悪くないものの、そのエビデンスとなるデータが存在しないため、適切な診断、治療を受けられないまま病脳期間が長期にわたる患者さんも少なくなく、咽頭・喉頭・気管狭窄症に関する乳児期から成人期までの全国の実態調査と疾患登録システムの構築、診療指針の作成は急務といえます。
以上より本研究の目的は、咽頭・喉頭・気管狭窄症を含む気道狭窄に関する全国疫学調査を行うことにより、その患者実態、臨床像、治療内容および経過などを明らかとし、疾患登録システムを構築することです。疾患登録システムを構築することにより、本邦における咽頭・喉頭・気管狭窄症に関する実態を知ることが可能となり、それらのデータから診療方針の確立、診療指針作成の礎とすることが期待できます。
研究の方法
●対象となる方
全国の日本気管食道科学会認定研修施設および小児専門医療施設において、2013年1月1日から2017年12月31日の間に、咽頭狭窄症、喉頭狭窄症、もしくは気管狭窄症の診断により治療を受けた方。ただし、狭窄の存在が過去にさかのぼり診療録をみても確認できなかった方は除きます。
●研究期間
2020年2月9日から2022年10月31日
●利用するカルテ情報
過去の診療録を調査し、咽頭・喉頭・気管狭窄症の存在が確認できた患者さんを対象として、年齢、性別、原因となった疾患、症状、発症時期、罹病期間、治療内容と臨床経過などの詳細を調査する。他施設へ紹介情報も確認することによりより、患者の重複を除外します。
●情報の管理
抽出された該当患者さまの情報は、電子症例報告書(EDC: Electoric Data Capturing)に入力します。氏名や住所は入力せず、匿名化された情報のみ入力します。入力された情報は、京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科データセンターで管理します。
研究組織
日本全国の複数施設から、データセンターであるCSPOR-BCへデータが集められます。当院は分担施設として、この研究に参加しております。
●研究責任者:東京医科大学茨城医療センター 呼吸器外科 教授 古川欣也
●研究代表者(研究の全体の責任者):京都大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授 大森孝一
●その他の共同研究機関:
ワーキンググループ
<ワーキンググループ(上図)>
京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科:
  大森孝一(教授)、岸本 曜(助教)、水野佳世子(大学院生)
国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科: 森本倫子(医長)
獨協医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科: 平林秀樹(教授)
兵庫県立こども病院 小児外科: 前田貢作(科長)
京都大学大学院医学研究科: 医学頭頸生物情報学 森田智視(教授)
京都大学大学院医学研究科: 薬剤疫学 川上浩司(教授)
個人情報の取扱い
患者さんの個人情報保護について、適用される法令、条例(「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」、臨床研究に関する倫理指針、個人情報の保護に関する法律、刑法134条など)を遵守します。また、患者様の個人情報およびプライバシー保護に最大限の努力を払い、本研究を行う上で知り得た個人情報を正当な理由なく漏らすことはなく、関係者がその職を退いた後も同様とします。
EDC入力の際、院内IDは入力せず、研究登録番号にて入力します。院内IDと研究登録番号との対応表は個人情報として取り扱い、当センター呼吸器外科がそれぞれ保管することとします。
研究責任者/分担研究者は、データベースの作成の際には、登録番号を用い、匿名化を行います。当該研究実施医療機関以外の者が被験者を特定できる情報(氏名、住所、電話番号等)は記載しません。データマネジメント担当者は、研究登録番号を用いてデータ管理を行います。
本研究の実施に関わる記録は、研究終了または中止後も適切に保管します。保管場所は京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科医局秘書室とし、パスワードを設定したファイルに記録し、外付けハードディスクに保存して、鍵の掛かるキャビネットに保管します。保管期間は論文化から10年とし、その後破棄します。
また、本研究で得られたデータ・資料については、個人識別情報とリンクしない形で二次利用する可能性があります。二次利用はデータ保管期間の10年間に限り、二次利用の際には該当する指針に基づき研究の情報の公開等を行い、必要に応じて医の倫理委員会に申請して承認を得ることとします。
本研究で得られた成果を論文または学会にて発表する場合は、研究責任者と本研究の関係者が協議の上取り決めます。研究責任者等が研究で得られた情報を公表する際には、被験者が特定できないよう十分に配慮します。
データ管理責任者:水野佳世子(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
問い合わせ先
東京医科大学茨城医療センター
呼吸器外科 教授 古川欣也