診療内容

主として消化器疾患(食道、胃、大腸、肝、胆、膵の悪性腫瘍、機能的疾患、良性疾患、炎症性疾患など)の外科治療、ヘルニアや痔核などの一般外科・肛門良悪性疾患の外科治療などを実施しています。また当教室の理念である、診断から治療、そして終末期までの医療を担当する、最初から最後まですべての医療に責任を持つとの考えから、治療効果の向上のみならずQOLの向上すること、即ち病気を治すと共に患者様を癒すこと、言い換えるならば、根治性を保ちつつQOLを考えた治療を心掛けております。診断としてはレントゲン、内視鏡、病理診断を、患者様の病態により柔軟に組み合わせて、より正確な診断を目指しております。また、治療法としては、外科治療に固執することなく、内視鏡的治療、血管内治療などの画像下治療、悪性疾患に対する化学療法や放射線治療などの、所謂内科的治療はもちろん、腹腔鏡下手術も適応を考慮したうえで、積極的に取り入れ患者様のメリットを最大限追求しています。また、がん患者様の緩和ケアにも力を入れており、総合的な観点から患者様主体の治療を進める体制が整っています。大学病院としての先進的な治療だけでなく地域中核病院としての役割を担うために日常的疾患の治療も積極的に取り組んでおります。保険制度上の制約はあるものの、可能な限り我々が治療した患者様は自宅に帰るまで、更には自宅に帰っても我々が治療を継続するようにしております。特に大学病院としては異色の地域ケア包括病床がありますので、急性期を過ぎてもこの病床を利用して同じ病院の中で入院を継続しながら、自宅退院への準備期間を得ることが出来ます。

病気だけを診るのではなく、人間としての患者様を見ることに我々はこだわっていきたいと思っています。

以下に各疾患に対する実際の取り組みについて紹介致します。

上部消化管(食道、胃)

上部消化管内視鏡検査は年間500例以上施行しています。食道がん治療としてはガイドラインに則り、手術治療のみならず、内視鏡的切除、放射線化学療法などの標準治療を遵守しつつ、患者様の種々の合併症やリスクに対応し術式・治療法の工夫をしています。食道がんの手術は比較的からだの負担が大きな手術となりますが、術後は集中治療室での周術期管理の徹底により患者様のからだにかかるストレスを軽減させ、1日か2日で一般病棟へ帰室できるように努力しています。また残念ながら根治的治療ができない患者様に関しても、がんによる痛み、食べ物が通らないなどの様々な不快な症状を放射線化学療法や食道ステントを施行することにより、生活の質の向上を目指した治療を行っております。

胃癌手術例は年間50例前後。胃癌治療ガイドラインに準拠した治療を心がけており、手術のみではなく、抗癌剤治療を手術前後に行う集学的治療を行っています。腹腔鏡下胃切除術は早期癌を中心に行っており、拡大視効果による緻密な手術による安全性の高い術式であると同時に傷が小さいことから疼痛の軽減が得られ術後の回復が早いことがメリットと考えております。また、術前後の補助化学療法や手術適応外の患者さんに対する化学療法は、副作用の有無を慎重に見極めたうえで、外来にて施行することを原則としています。

下部消化管(大腸、直腸、肛門)疾患

大腸内視鏡検査は年間約300件を行っています。大腸ポリープに対しては、原則1日入院にて内視鏡的切除術を行っています。大腸がん手術症例は年間約80例と年々増加傾向にあります。早期大腸がんは内視鏡的切除を原則に行っていますが、内視鏡診断にて外科的切除の適応を判断しています。手術方法に関しては、手術成績、安全性および手術侵襲を考慮し、適応を判断して皮膚切開を可能な限り小さくする腹腔鏡補助下手術を行っています。また、直腸がんに対しては可能な限り人工肛門造設を避け、自然な肛門機能温存に努めています。切除不能進行再発大腸癌に対しては、外来通院にてさまざまな化学療法を使い分け、副作用の軽減と患者さんのQOLの維持をはかりながら治療成績の向上に努めています。新たな抗癌剤治療を積極的に導入、集学的治療を行っています。大腸癌手術症例の5年生存率は、0・T期100%、U期88.5%、Va期83.9%、Vb期57.6%、W期16.1%。

肛門専門外来を月1回水曜日・午後に行っています。肛門疾患は、患者さんの生活、食事、排便習慣などが大きく関係しているので、まずこの点に関して検討し、助言、指導にあたっています。痔核は、基本的に保存的治療を選択しますが、難治例や再発例には積極的に手術を行い良好な成果を上げています。

肝胆膵疾患

良性胆嚢疾患(胆石症、胆嚢腺筋症、胆嚢ポリープなど)、総胆管結石に対しては腹腔鏡下手術、内視鏡化治療を第一選択としています。肝癌手術は年間20例以上となっており年々増加しております。特に肝細胞がんにおいては、ガイドラインに準拠し、消化器内科と協力体制のもと肝炎ウィルス患者などのハイリスクグループの経過観察を十分に行い、肝癌診療ガイドラインに準拠しながら手術、経カテーテル的肝動脈塞栓術、ラジオ波焼却療法を組み合わせた集学的治療をすすめています。最近では、より低侵襲な腹腔鏡下肝切除術を導入しております。膵がん手術、胆道がん手術は年間30件以上と著明に増加しており、術前後の化学療法などの集学的治療を行うばかりでなく、全国での協力体制で行われている治験にも参加し、さらなる生存率の向上を図っています。膵切除においてもより低侵襲な腹腔鏡下膵体尾部切除術を行っております。また画像ナビゲーションを積極的に取り入れより正確な診断のもと適切な術式選択を行い、それぞれの患者様に対してテーラーメイド医療を行っております。また手術不能がんに対しても、メタリックステントなどによる横断の軽減を施行したうえで全身状態を向上させてからの化学療法の導入など、QOLと治療効果の向上に努めています。

その他、救急・一般外科

地域医療への貢献として救急医療にも積極的に取り組んでおり、腹腔内臓器の外傷性損傷、穿孔性腹膜炎などの症例も年間約30例を超えています。急性虫垂炎、鼠経ヘルニア、痔疾など一般外科手術も、緊急を含め年間約120例の手術を施行しております。成人鼠経ヘルニアにはメッシュによる補強を第1選択としており再発はほとんどありません。