大石 修司

呼吸器内科 准教授
大石 修司

はじめに

肺がんとは肺から発生するがんの総称です。日本では肺がん患者が近年急速に増加し、1998年にはそれまでがんの中で死亡原因の1位であった胃がんを抜いて第一位になってしまい、現在年間6万人以上の方が亡くなっています。肺がんは年齢とともに患者数が増加しますが、特に70歳代の高齢者で激増し、10年前に比べると約3倍に増加しています。

早期発見のために

肺がんは症状が出にくく、早い時期に発見するのが難しい病気です。症状としては咳や痰がありますが、この程度の症状では診察を受けることさえしない方が多いと思います。その他に血痰や胸痛、呼吸困難、肩や腕の痛み、顔の浮腫などが認められることがあります。症状が現れたときにはすでに進行していることが多く、症状発見肺がんと検診発見肺がんを比較すると、検診発見肺がんでは手術を受けられる確率が高く、また病期も治癒率の高いI期の割合が高くなっています。早期発見には定期的な検診が重要です。一般に、肺がん検診は胸部レントゲン撮影と喀痰細胞診により行います。

肺癌と喫煙

肺がんの原因で最も重要なのはタバコです。喫煙者の肺がんによる死亡のリスクは非喫煙者の4~5倍、1日20本以上の重喫煙者では10倍以上とも言われています。また周りの人がタバコを吸うことによる受動喫煙も問題です。タバコを吸わなければ肺がんにならないわけではありませんが、肺がんの予防策として最もよい方法が禁煙または喫煙しないことであることは間違いありません。一方、禁煙により肺癌のリスクは確実に低下します。たとえヘビースモーカーであっても、禁煙するのに遅すぎることはありません。

診断と進行度について

肺がんはその性格や悪性度を診断し、進行度を評価することにより、治療法を決定します。肺がんはその性格から小細胞肺がんと非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)の2つに大きく分類されます。診断のための検査としては、喀痰細胞診、気管支鏡検査、針生検(CTガイド下など)、胸水があれば胸腔穿刺による細胞診などにより診断を確定します。

肺がんの進行度を知るためには、リンパ節や他の臓器(脳、骨、肝臓など)への転移の有無を各種検査(CT検査、MRI検査、腹部超音波検査(エコー)、骨シンチグラムなど)で確認し、病期を決定し治療計画を立てます。

治療

肺がんの治療方法は、肺がんの型(非小細胞肺がんまたは小細胞肺がん)、がんの進行度、患者さんの全身状態などによって決まります。治療方法には、主として外科療法、抗がん剤による化学療法、放射線療法の3つがあります。その他、肺門部の早期肺がんに対しては内視鏡治療(レーザー治療)として「光線力学的療法」があります。呼吸器内科では、このうち外科療法の適応の無い症例に対し化学療法を中心に治療を行います。治療にはさまざまな副作用が伴いますが、少しでも楽に治療が受けられるようにするための支持療法も進んでいます。このため、最近では多くの方が外来にて治療を受け(外来化学療法、図1)、受診日以外は通常の生活を送っていただけるようになっています。また、私どもの施設では先進医療への取り組みとして低肺機能やその他の合併症などで上記のような従来の治療が困難な症例に対して、低侵襲で有効な局所治療としてのラジオ波凝固療法の確立に取り組んでいます。(図2:CTガイド下での治療、図3:穿刺電極針)

図1:外来化学療法室
図2:CTガイド下での治療
図3:穿刺電極針
これから

化学療法を必要とする肺がんは、現状の治療で完治する症例は稀です。このため、治療成績の向上を目指して、分子標的治療薬を含む新規抗がん剤の開発などが進められています。また、進行したがん患者さんへの疼痛やその他の苦痛への対策(緩和医療)も進歩しています。

予防にまさる治療はありませんが、少しでも早期に発見することがよりよい結果につながります。検診を継続して受けられること、また症状がある場合はそのままにせず、ぜひ医療機関を受診されることをお勧めいたします。

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