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睡眠呼吸障害センター

特色

センター長 青柴 和徹

専門:呼吸器一般、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本内科学会 認定内科専門医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器学会 指導医
  • 日本医師会 認定産業医

睡眠呼吸障害について

睡眠呼吸障害の代表的な病気が睡眠時無呼吸症候群です。この病気では睡眠中にいびきと無呼吸(呼吸停止)があり、日中には眠気や集中力の低下などの症状が出現します。人口の約4%に睡眠時無呼吸症候群があるといわれ、21世紀の国民病ともよばれています。東京医科大学茨城医療センターでは、北関東圏内および茨城県における初の専門施設として平成14年に睡眠呼吸障害センターを開設しました。外来診療においては内科的診察、耳鼻科医による鼻咽腔内視鏡検査、鼻腔通気度、セファログラムなどの検査、歯科口腔外科医による口腔内の診療を行い、睡眠時無呼吸症候群の原因診断と治療を行います。外来でも簡易型睡眠呼吸検査、パルスオキシメトリー検査などを行うこともできますが、睡眠時無呼吸症候群の確定診断のためには1泊2日の入院で終夜睡眠ポリグラフ(PSG)による精密検査が必要になります。当院では総合病院の特色を生かし、内科医、耳鼻科医、歯科口腔外科医、専門技師が協力したクオリティの高い睡眠呼吸障害の医療を提供できるように努力しています。

睡眠時無呼吸症候群の原因と症状

睡眠時無呼吸症候群のなかで頻度の多い閉塞型では、のどから気管に通じる空気の通り道(上気道)が、睡眠中に狭くなり、あたかも首をしめられたようになります。その原因には多くの場合、肥満(特に首周りの肥満)や下顎の骨格の問題(下顎が小さめで後退している)が関係しています。このような人では起きているときには呼吸に異常がなくても、睡眠中には重力の影響で気道が狭くなり、細くなった気道を空気が通過するためにいびきをかきます。気道が完全に塞がってしまうと、呼吸が止まってしまいます。この状態を無呼吸といいますが、長いときには数十秒間も呼吸が停止していることがあります。その後「カッ」という息を吸い込む音とともに、呼吸が再開し、いびきをかくという周期を何回も繰り返しています。呼吸が弱くなって止まる寸前の状態を低呼吸といいますが、多い人では無呼吸と低呼吸の合計回数が一晩に500回以上に達することもあります。特にお酒を飲んだ時には、いびきや無呼吸が悪化します。いびきや無呼吸には体位の影響もあり、仰向けではひどくなりますが、横向きでは軽くなることがあります。一晩に何回もトイレに起きるという症状も睡眠時無呼吸症候群にはよくみられます。
睡眠中には脳の休息が必要です。しか無呼吸を繰り返している人では深い睡眠がとれなくなるので、脳を休ませることができなくなります。したがって睡眠時間は充分とっているはずなのに、睡眠が浅いために昼間に眠くなる、車の運転中に眠い、集中力に欠ける、仕事にミスが多い、気力が低下するなどの症状が現れます。さらに睡眠中に無呼吸がおきると、身体に必要な酸素が不足してしまうので高血圧、脳卒中、不整脈などの循環器疾患にかかりやすくなることも知られています。
欧米では睡眠時無呼吸症候群の患者の多くが肥満者ですが、日本では肥満者でなくても睡眠時無呼吸症候群になる方がいます。その理由は日本人と欧米人の顔面(特に顎)の骨格の違いから説明されています。

終夜睡眠ポリグラフ(PSG検査)

睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、1泊2日入院による終夜睡眠ポリグラフ(PSG)による精密検査を行い、睡眠中に呼吸が何回、何秒間停止しているのか、停止している原因はなにか、睡眠の状態はどうか、身体の酸素濃度は不足していないかなどを総合的に調べます。そのために筋電図、脳波、酸素濃度、胸の運動、腹の運動、脈拍など10種類以上の項目を検査します(下の写真)。

終夜睡眠ポリグラフ検査の写真
終夜睡眠ポリグラフ(PSG)の器械
 検査を行う病室

下の写真はPSG検査の結果ですが、無呼吸(緑の矢印で示したところ)が30秒間続いていることがわかります。

このような終夜睡眠ポリグラフ検査に加えて、肥満、高血圧、高脂血症などの有無、上気道の閉塞の状態、レントゲン検査(セファログラム)による顔面骨格の形を総合的に評価して原因の診断と治療方針を決定します。
睡眠時無呼吸症候群の重症度の目安としては、無呼吸低呼吸指数 (Apnea-Hypopnea Index:AHI)が用いられます。これは一晩に何回無呼吸と低呼吸が起きたかを合計し、その合計数を睡眠時間で割り算して1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を求めた数字です。例えば一晩に無呼吸が200回、低呼吸150回、合計350回起きていたとすれば、7時間の睡眠時間で割り算して1時間あたりの無呼吸o低呼吸の回数(AHI)は50回ということになります。AHIが5回以下なら正常、5回から15回は軽症、15回から30回は中等症、30回以上は重症の睡眠時無呼吸症候群と判断します。
下の図は終夜睡眠ポリグラフで睡眠の深さを調べた結果です。無呼吸のために、深い睡眠(S3、S4)がとれずに、赤のバンドで示したように睡眠が浅い(S1、S2)状態が続いていることがわかります。このために昼間に眠気や集中力の低下などの症状が現れてしまうことになります。

 

終夜睡眠ポリグラフの検査入院では21時頃から開始しますが、眠れないときには睡眠薬の使用も可能です。検査技師が別室で待機しておりますので、夜間トイレに起きるときなどもお知らせください。

簡易ポリグラフ

入院せずに自宅で簡易的な検査ができます。晩酌をする方は、いつものようにお酒を飲んでから検査することもできます。しかし測定項目が少ないので、結果によっては再度入院しての終夜睡眠ポリグラフの検査が必要になることがあります。また、脳波計は装着できませんので、睡眠の状態については測定できません。

睡眠時無呼吸症候群の治療

シ-パップ(CPAP)療法

    • 睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法がシ-パップ(CPAP)です。これはマスクから空気を鼻に送り込んで睡眠中に気道が塞がらないようにする治療法ですが、最近ではマスクからでる空気圧を呼吸の状態にあわせて自動的に機械が調節してくれるオ-トシ-パップの器械が主流になっています。しかしうまく使用できない場合には、空気圧を調整する目的でマスクを着けた状態で終夜睡眠ポリグラフ検査(タイトレーション)を行います。

シ-パップ療法では左の図のようにマスクを鼻に装着して、バンドで頭から固定したまま睡眠をとります。睡眠中にはマスクのホースの先につながった器械から圧力のかかった空気が送り込まれて、眠っている間も気道が押し拡げられるので、無呼吸といびきが改善します。また、朝の目覚めもよくなり、昼間の眠気も改善します。しかしシ-パップ療法は根本的な治療法ではありませんので使い続ける必要があります。例えば近視の人はめがねをかければよく見えるようになりますが、近視そのものが治ったわけではありません。シ-パップも睡眠時無呼吸症候群を根本から治す治療法ではありませんので根気よく使い続ける必要があります。

    • シ-パップ療法はAHIが20以上で、眠気などの自覚症状があり睡眠と日常生活に支障がある場合には保険適応が受けられます。その場合には月一回の定期的な外来通院が必要です。最近の研究ではシ-パップ療法を続けることで、循環器疾患などの合併症が減り、生命予後が改善することが知られています。

 

耳鼻科的手術

    • 扁桃腺の肥大や軟口蓋の異常が無呼吸の原因である場合には扁桃腺摘出などの手術でよくなることがあります。ただし肥満や顎の骨格形態なども原因にかかわっている場合には、手術だけではなくシ-パップ療法を続ける必要があります。このように無呼吸がおきる原因を患者さんごとにきちんと診断することが大切です。

口腔内装具(マウスピ-ス)

    • ボクシングの選手が使うような口腔内装置(マウスピ-ス)を装着しながら眠ると無呼吸が改善することがあります。口腔内装置は、軽症または中等症の睡眠時無呼吸症候群の患者さんで、下顎が小さい、あるいは後退しているような方に特に効果があります。専門の歯科口腔外科医に個人に合った装具を作製していただく必要がありますが、保険が適応されます。

生活習慣の改善

    • 睡眠時無呼吸症候群の約8割の方が肥満です。特に首回りの脂肪が気道を狭くする大きな原因ですので、ワイシャツの首周りサイズが大きい(あるいは大きくなった)人は要注意です。肥満の解消には栄養管理や適度な運動習慣の継続が大切です。
    • 体重が減れば無呼吸は改善していきますが、シ-パップ療法を中止できるかは個人差があります。肥満がある睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、治療開始時の体重から10%の減量が達成できた時点で、再度睡眠検査を行ってシ-パップ療法の中止の可否を判断することもあります。

シ-パップフォロ-アップ外来

    • シ-パップ療法の継続ならびに保険適応のためには月1回の診察が必要です。木曜日および土曜日(第1)の午前に外来を行っていますが、遠方の方には近隣の先生のところにフォローアップをお願いすることも可能です。

主な対象疾患

睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、むずむず足症候群。
 

 睡眠呼吸障害センター(スリープ・ラボ)の外来は木曜日に完全予約制(9時から11時)で行っています。
  ・お問い合わせ、診察の予約は専用ダイアル0298-87-1382までどうぞ
  ・お問い合わせ、診察予約受付時間 月曜日~金曜日13時から16時30分

睡眠呼吸障害センター担当医
木曜日
  青柴 和徹 医師 内科(呼吸器)
  松尾 朗 医師 歯科口腔外科
  髙田 大輔 医師 耳鼻咽喉科
土曜日(第1)
  シーパップフォローアップ外来 渡邉 治 医師 内科(呼吸器)
  Tokyo Medical University Kasumigaura Hospital Sleep LAB

治療・成績

診療実績(平成31年度)

1.外来患者数

    • 初診外来患者数 122名
    • 再診患者数 1,574名
    • 延患者数 1,696名

2.入院患者数

    • 新入院患者数 100名
    • 実患者数 103名
    • 取扱患者 200名
    • 平均在院日数 1.0日

 

PSG検査実績

    • 2017年度は270名であった。

治療実績

 2017 年度のCPAP 導入患者は76 名であった。(表1)その他、口腔内装置や耳鼻科手術による治療も行われ、CPAP の適応にはならない軽症例には積極的に口腔内装置を導入した。一般にCPAP 導入者の継続率は60 ~ 70% といわれているが、当施設での継続率は90%を超えている。高い継続率を維持するために月に一度の診察時には、CPAP カードの解析結果を本人に提示し、使用率、無呼吸の改善の程度を自ら理解してもらうことでCPAP に対するモチベーションの向上に努めている。また、マスクの調節やメンテナンスにも力を入れている。 肥満者に対しては、ダイエット指導も行っている。PSG 検査の結果、ナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠障害が疑われる症例については、外部の睡眠障害専門医に。

表1
年度
2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
新患患者数(名) 224 137 207 209 210 181 196
PSG検査(件) 213 133 159 189 168 271 270
PSGCPAP導入(名) 106 78 117 80 103 75 76