- 睡眠時無呼吸症候群/呼吸器一般
- 日本呼吸器学会 専門医・指導医
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本癌治療認定医機構 暫定教育医
睡眠呼吸障害について
睡眠呼吸障害について睡眠呼吸障害は睡眠時無呼吸症候群ともよばれています。睡眠中に激しいいびき、呼吸停止がみられ、日中には強い眠気などの症状があります。人口の約4%に睡眠時無呼吸症候群があると推測され、21世紀の国民病とされています。東京医科大学茨城医療センターでは、北関東そして茨城県での初の専門施設として平成14年6月に睡眠呼吸障害センターを開設しました。外来では睡眠に関する詳細な問診・内科的診察と同時に、耳鼻科医による鼻咽腔喉頭ファイバー、鼻腔通気度、セファログラムを施行しています。また簡易型睡眠呼吸検査、パルスオキシメトリー検査なども施行できる体制をとっています。確定診断をする目的で、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を1泊2日の入院で週3回、各2名定期的に施行しています。総合病院の特色を生かし、内科、耳鼻科の枠を越えた患者様中心のセンターとして、クオリティの高い医療を提供していくことを我々の使命と位置付け、日夜努力を続けています。
睡眠呼吸障害の原因と症状について
原因で最も多いものは、のどから肺に通じる空気の通り道(気道)が、睡眠中にあたかも首をしめられたように狭くなってしまうことです。この原因には肥満(特に首周りの肥満)が関係している場合が多いとされます。昼間は狭くない気道も、睡眠中には重力の影響で狭くなりやすくなって、いびきをかきます。気道が完全に閉じてしまうと、呼吸が止まってしまいます。これの状態を、無呼吸と言います。無呼吸は10秒から数十秒間も続く場合があります。カッという息を吸い込む音とともに、無呼吸から正常な呼吸へと戻り、いびきをかくようになります。一方、呼吸が弱くなって止まる寸前という状態を低呼吸と言います。多い人は無呼吸と低呼吸 の合計が一晩に500回以上に達することもあります。無呼吸の程度が強い患者さんの場合には、とても大きないびきをかきます。
いびきや無呼吸はアルコ−ル摂取と関係しますので、大量にアルコ−ルを飲んだ時には、特に大きないびきをかき、たくさんの無呼吸が出現します。仰向けでの睡眠の場合には無呼吸やいびきが悪化しても、横向きでは少ないこともしばしばです。一晩に2から3回トイレに起きるという症状も多いです。
人間の脳も休息が必要です。睡眠中に深い睡眠に入ることは、脳を休ませるために非常に大切なことです。しかし、無呼吸を頻繁に繰り返していると、脳を休ませる深い睡眠をとることができません。ですから睡眠時間をたっぷりとっても、脳が本当に休めないので、会議中に眠くなったり、車を運転中に眠気が襲う、集中力に欠ける、気力がないなどの症状が出てしまいます。このような状態を長期間放置すると、高血圧、脳卒中、不整脈などの循環器系合併症のリスクが高くなることも判っています。
寝ている間の無呼吸は、自分ではあまり感じないものです。睡眠をとる時に近くにいる人が、無呼吸やいびきに悩まされていても、患者さん自身は全く気付いていないことのほうが多いのです。
それほど太っていなくても睡眠時無呼吸症候群になる方はいます。これは顔面の骨格が影響して起こるものです。日本人は欧米人程太っていなくても、睡眠時無呼吸症候群になる方はたくさんいます。これは日本人の顔面の骨格が欧米人と違うからです。
当センタ−で使用しているPSG検査機器
当センタ−で使用しているPSG専用ベッド
終夜睡眠ポリグラフ(PSG検査)
PSG検査で睡眠中に呼吸が何回停止するか、何秒間停止するのか、閉塞型か、中枢型か、などを判定します。筋電図、脳波、酸素濃度、胸の運動、腹の運動、脈拍など10種類以上のモニターを装着し詳細に検査します。
下はPSG検査の解析画面です
この結果に加えて、肥満、高血圧、高脂血症などの内科疾患の評価、上気道閉塞部位の評価、セファログラムによる顔面骨格の評価などを、内科医師、耳鼻科医師、歯科口腔外科医師、検査技師、看護師を中心として、睡眠呼吸障害カンファレンスを週一回行い、適切な診断と治療方針を決定に努めています。
睡眠時無呼吸症候群の重症度の指数として大切なのが、無呼吸低呼吸指数 (Apnea-Hypopnea Index)略してAHIと呼ばれています。一晩に何回無呼吸があったか、何回低呼吸があったかを合計します。そしてその合計した数を、睡眠時間で割ると、1時間あたりの無呼吸と低呼吸の数になるのです。(例:無呼吸200回、低呼吸150回なら、合計350回になります。これを7時間の睡眠時間で割ると、1時間あたり50回ということになり、AHIは50と表現します。)AHI 5以下が正常、5から15は軽症、15から30は中等症、30以上は重症の睡眠時無呼吸症候群と判定することになっています。

一晩の睡眠状態を記録したものです。S1,S2が浅い睡眠です。殆どが浅い睡眠でした。
PSG検査入院で気をつけることは特にありませんが、少なくとも6から7時間の睡眠時間で検査を行ないたいので、当日は21時頃には消灯して頂くようにしています。
万一、眠れないときには検査技師が常駐しておりますので、インタ−ホ−ンでお声をお掛けください。検査中のトイレなどの場合もお声をお掛けください。
簡易ポリグラフについて
入院せずに御自宅で検査ができるのが最大の利点です。アルコ−ルを飲む方は、いつものように飲んでから検査することもできます。
検査項目が少ないので、判断に迷うときには入院検査を追加する必要がある場合もあります。ときに検査機器が外れてしまい、再度行なう必要があることがあります。また、脳波は付けませんので、睡眠の状態については検査できません。
治療法について
睡眠呼吸障害センタ−では、適切な治療を行える体制をとっています。
シ−パップ療法
最も基本的な治療方法です。睡眠検査の結果でシ−パップ療法が適切な治療方法と判断される方には、結果を説明した当日からシ−パップ療法を開始していただける体制を取っています。最近はマスクからでる空気圧を自動的に機械が調節してくれるオ−トシ−パップ機器を用いた治療を開始することが多くなっています。一ヶ月、二ヶ月と試みて、うまくシ−パップ療法が続けられるようであればよいと思います。うまく使用できない方は、空気圧を調整する目的でマスクを着けた状態でPSG検査(タイトレーション)を行います。
マスクは鼻につけて、バンドで頭から固定して睡眠を取ります。機械から圧のかかった空気がマスクに送り込まれてきます。この空気圧が、寝ている間に狭くなる気道を広げて、無呼吸と、いびきを解消します。また、朝の目覚めもすっきりし、眠気もなくなります。ただし、根本的に治療する方法ではありませんから、長い間使う必要があります。わかりやすい例としては、近視になったら眼鏡をかけて、視力を矯正するとよく見えるようになります。でも長期間眼鏡をかけたからといって、決して近視が治るわけではありません。この理屈はシ−パップ療法にも当てはまります。AHI20以上で、眠気などの自覚症状があり日常生活に支障がある、睡眠時無呼吸症候群が原因と考えられる高血圧などの合併症が有る場合に、保険適応となります。シ−パップ療法を続けて行く事で、合併症を減らし、生命予後を改善する事が知られています。しかし、患者さんのなかには治療途中に、自己判断で中止させてしまう場合も何人かいらっしゃるのがとても残念です。
シ−パップ療法の継続には月一回の定期的な外来診察が必要です。

シーパップマスクを装着したところです。
実際に使用する時には、機械に管で接続されます。花粉症や風邪で鼻がつまっている時には、違和感を感じることもあります。送られてくる空気圧は最初から固定されるタイプと、自動的に調節されるタイプがあります。
耳鼻科手術について
扁桃腺が大きい小児などでは扁桃腺を摘出する手術だけで、治療が終了する場合もあります。しかし成人の場合には、手術が第一選択となる場合は少ないのが現状です。成人で肥満などが大きな発症因子となっていることが多いので、手術をしても良く治らないことがあるからです。しかし、成人でも扁桃腺や軟口蓋が閉塞に大きく関わっている場合には手術が有用な治療となります。このような理由から無呼吸がおこる原因をきちんと見極めることが大切になのです。
口腔内装具(マウスピ−ス)について
睡眠をとるときに、口の中にボクシングの選手が使うようなマウスピ−スを使うとよい場合もあります。呼吸が止まる程度や、顔や顎の形などによって異なります。私達は中等症か軽症の患者さんで、下顎が小さい、あるいは後方にずれている方に試みるようにしています。口腔内装具は歯科の先生に患者さん専用にオーダーメードで作成していただく必要がありますので、多少の手間と費用が必要になります。平成16年4月より保険適応となりましたので一層安心して作成していただくことが可能です。
生活改善について
睡眠時無呼吸症候群の約8割の方が肥満です。特に首回りの脂肪が、睡眠中の気道を狭くする原因のひとつです。ワイシャツの首周りサイズが大きくなっているようなら要注意です。肥満を少しでも解消するために、栄養指導や、運動指導を継続的することが大切です。肥満と睡眠時無呼吸症候群の関連は明らかです。体重が増えれば必ず悪化します。逆に体重が1kgでも減れば無呼吸は改善するはずです。まず、1kgでも2kgでもいいから痩せること、体重は決して増やさないようにしましょう。代謝内分泌内科医師のOB(肥満)外来と協力して診療にあたっています。
体重が減れば無呼吸が改善することは間違い有りませんが、シ−パップ療法を止められると断定することはできません。我々は治療開始時の体重から10%の体重減量を目標としてお勧めしています。この目標が達成できた段階で再度睡眠検査で無呼吸の状態を調べてみることも大切です。この減量を維持していくことは大変な努力と行動変容、価値観の変化が必要です。また御家族の協力も大切です。睡眠時間をなるべく一定にとり、深夜遅くまで起きていないようにすることも大切です。
シ−パップフォロ−アップ外来について
安定してシ−パップ療法を続けられることができる方のために土曜日にシ−パップフォロ−アップ外来を新たに開設致しました。呼吸器内科医師が交代で担当いたします。
診断結果と治療成果について
平成19年4月末日現在で1000例以上のPSG検査を施行しました。(シーパップタイトレーションは含みません。)睡眠時無呼吸症候群と診断された患者様には、シーパップ療法だけでなく、症状に応じて口腔内装具、扁桃摘出・軟口蓋形成術などの治療も行って成果を上げています。
睡眠呼吸障害センター(スリープ・ラボ)の外来は木曜日に完全予約制(9時から11時)で行っています。
- お問い合わせ、診察の予約は専用ダイアル0298-87-1382までどうぞ
- お問い合わせ、診察予約受付時間 月曜日〜金曜日13時から16時30分
睡眠呼吸障害センター担当医
- 木曜日
- 足立 秀喜 医師(呼吸器内科)
- 来生 研 医師(総合診療科)
- 近藤 貴仁 医師(耳鼻咽喉科)
- 土曜日
- シーパップ外来(交代制)
Tokyo Medical University Kasumigaura Hospital
Sleep LAB
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