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放射線科

特色

当科は放射線科専門医4名と専攻医1名の医師が診療にあたっています。また、専門性を備えた、診療放射線技師24名、看護師8名により、放射線部の業務にあたっています。
放射線科にはCT 3台(16スライスMDCT 1台と128スライスMDCTエリアディテクター
Dual-Energy CT 1台)、MRI 2台(3.0T超電導装置と1.5T超伝導装置)、血管造影撮影装置2台(いずれもデジタルサブトラクション装置)などの診断機器の他に、VMAT定位放射線治療が可能なライナック放射線治療装置を有し、他科との協力のもと、最善の診断と治療を実践しています。

また、地域医療に貢献すべくCT、MRIなどの先端の診断機器を近隣の開業医の方々へ開放しています。詳細に関しては当院医療連携室までご連絡ください。

放射線治療の主な対象疾患

放射線治療は大きく分けて、一般照射と三次元的にビームを収束させてピンポイントで治療を行う定位照射及び最新のIMRT(強度変調照射)に分かれます。様々な悪性腫瘍に対して有効ですが、主なものを以下に示します。

1)一般照射が有効なもの

    • 脳腫瘍、耳鼻科領域の癌(特に、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、副鼻腔癌、喉頭癌)、肺癌、胸腺腫、食道癌、肝臓癌、胆管癌、膵臓癌、乳癌(特に、温存術後)、子宮癌、膀胱癌、前立腺癌、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍、転移性骨腫瘍。

2)定位照射が有効なもの

    • 転移性脳腫瘍、早期肺癌、脳動静脈奇形、聴神経鞘腫などで約3cm程度以下の大きさのもの

3)IMRTが有効なもの

    • 前立腺癌、頭頸部癌、多発脳転移、一般的な治療が難しいもの

 
これらが対象疾患ですが、放射線治療の適応か判断に迷われた時は、いつでも遠慮なくご相談ください。

スタッフ紹介

科長・教授 菅原 信二

専門:放射線治療
  • 放射線学会 放射線治療専門医
  • 放射線腫瘍学会 認定医

准教授 片田 芳明

  • 日本医学放射線学会 放射線診断専門医
  • 日本医学放射線学会 研修指導者
  • 日本インターベンショナルラジオロジー学会 IVR専門医
  • 日本ステントグラフト実施基準管理委員会 腹部ステントグラフト血管内治療指導医

助教 代田 夏彦

  • 日本医学放射線学会 放射線診断専門医
  • 日本医学放射線学会 研修指導者

助教 小久保 玲志


 

医員 和田 志帆


 

医員 川本 翼


 

医員 齊藤 良都


 

医員 山本 真美

 

客員教授 田中 優美子

 

非常勤講師 水本 佳子

  • 放射線学会 放射線治療専門医

外来診療

*表は右にスクロールして見れます

◎:教授 ○:准教授 ◇:講師

診断

外来担当医
片田芳明○ 片田芳明○ 小久保玲志 代田夏彦 片田芳明○
(午後)
交代制
代田夏彦 代田夏彦 田中優美子◎ 小久保玲志 小久保玲志  
小久保玲志 山本真美 片田芳明○ 片田芳明○
(午前)
坂野真帆  
齊藤良都/山本真美    齊藤良都 齊藤良都/山本真美 齊藤良都/山本真美  

治療

外来担当医
菅原信二◎ 菅原信二◎ 菅原信二(PM)◎ 菅原信二(AM)◎ 菅原信二◎ 交代制
川本翼/和田志帆 川本 翼 和田 志帆 和田 志帆 和田 志帆  
「放射線科」の休診・代診
           

治療・成績

診療実績(2022年度)

1.外来患者数

    • 初診外来患者数 808名
    • 再診患者数 6,101名
    • 延患者数 6,909名
表1 放射線治療の登録患者、定位照射、VMATの内訳
  原発部位分類 令和2年度 令和3年度 令和4年度
放射線治療症例数 脳・脊髄腫瘍 13 9 6
頭頚部腫瘍(甲状腺腫瘍を含む) 12 12 7
食道癌 11 7 5
肺癌・気管・縦隔腫瘍 89 81 78
乳房 94 89 92
肝・胆・膵臓 7 9 11
胃・小腸・結腸・直腸癌 15 13 14
泌尿器系腫瘍 55 71 129
婦人科腫瘍 11 24 14
皮膚・骨・軟部腫瘍 0 0 0
造血器リンパ系腫瘍 1 2 2
その他(悪性腫瘍) 0 0 1
総計 308 313 359
  照射分類 令和2年度 令和3年度 令和4年度
定位照射内訳 転移性脳腫瘍 34 22 17
脳動静脈奇形 2 1 0
肺癌 4 13 20
胸腺癌 0 0 0
転移性肺癌 2 1 3
肝臓癌 1 0 1
総計 43 37 41
  照射部位分類 令和2年度 令和3年度 令和4年度
強度変調回転照射
(VMAT)内訳
前立腺 27 60 104
頚部 5 5 2
肺・縦隔,その他 58 59 65
総計 90 124 171
前立腺シード治療 前立腺 6 42 44
 
表2 血管造影・IVR
  令和2年度 令和3年度 令和4年度
肝臓のTACE、動注療法 18 23 14
動脈塞栓術(肝臓,出血など) 3 17 15
動注リザーバー留置術 4 13 32
血管形成術・血管ステント留置術 1 1 7
門脈系IVR(BRTO) 1 1 0
CVリザーバー 0 0 0
その他 8 5 7
総計 35 60 75
 
表3 先端放射線機器の共同利用
  令和2年度 令和3年度 令和4年度
CT 238 269 232
MRI 457 464 514
核医学検査 61 173 143
放射線治療 48 28 32
その他 76 29 46
総計 880 963 967

主要装置一覧

共同利用できる装置の紹介

放射線治療

放射線治療の治療計画はCTを使って3次元的に精密に行われ、使用する装置は非常に精度の高いものを使うので、必要な範囲以外には放射線はあたりません。更に当院ではラジオサージャリーという非常に細いX線を3次元的に様々な方向から照射することにより、 病変部には放射線を集中させつつ周囲の正常脳組織に対するダメージを最小限に抑える照射も行っております。

用途

    • 放射線を使い体の表面や奥にある病気を、放射線による影響を最小限におさえて治します。

MRI検査

人体を静磁場の中に入れ、外部よりFMラジオに用いる様な電波を与える事で人体から発せられる非常に弱い信号を受信する事で画像化します。信号が微弱なために、撮像時間が長く動きの少ない部位(頭部、脊椎、骨盤、四肢)に有効でありました。しかし、最近ではMRI装置が高速になり息を止めながらの撮像が出来る様になり、適応は体全身へと広がりました。それに加え、造影剤の開発が目覚ましく更なる発展が期待されている検査です。

用途

    • 体全身をあらゆる方向からの断面で画像化します。

CT検査

CTは、非常に細い放射線を人体の周りを一周させそのデータをコンピュータ処理する事で人体の横断像を画像化します。最近では、ベットを動かしながら撮影する事が出来るために短時間で検査が可能になりました。更に、コンピュータ技術の発展により任意の断面の再構成や3D表示が可能になり、その必要性は更に増しています。

用途

    • 体全身の横断 面の画像を撮影する事ができます。撮影時間も短く診断に有効な画像が得られます。

超音波検査

指先の血管までもが鮮明な画像として捉える事ができる最新鋭のデジタル超音波装置の導入により、これまで描出が困難であった小さな病変の発見にも威力を発揮しています。また身体に害のない微小気泡を投与しての造影検査など最新の検査法や検査手技を随時取り入れ、より多くの情報を患者様に提供出来るよう努めています。

用途

    • 肝臓や胆嚢、膵臓と言った腹部諸臓器を始め、甲状腺や乳腺などの体表臓器、更には足や首の血管など全身のあらゆる部位を対象として行われています。病気発見のファーストチョイスとしてだけでなく精密検査、更には治療後の効果判定まで、その活用範囲は広がっています。

アイソトープ検査

ラジオアイソトープ(RI)を体内に投与すると、RIは特定の細胞または部位に集積してガンマ線を放出します。
そのガンマ線を利用しコンピュータを介して画像化し診断します。

用途

    • 脳疾患(痴呆、早期アルツハイマー病、脳梗塞等)、心臓疾患(心臓の動きの評価や心筋梗塞・狭心症等)肝臓疾患(肝臓の機能や肝炎・肝硬変の重症度の評価)などの診断、治療効果判定に活用されています。全身の悪性腫瘍の経過観察に最適で、甲状腺等の機能検査も可能です。

SPECT

    • 目的部位を中心に装置を回転させRIの体内分布を3次元表示する事で診断に有効な情報が得られます。

血管撮影検査

全身の血管の走行状態をデジタル画像で撮影する装置です。心血管のシネ撮影及びその他の血管のDSA撮影を行います。DSAとは造影剤陰影と紛らわしい組織陰影を消去し、造影剤陰影のコントラストを鮮明にする画像処理です。更に本装置は、回転DSA撮影が可能であるため、血管の走行を三次元に表示する事ができ、立体的に血管性病変を観察することが出来ます。

用途

    • 全身の血管の状態がリアルタイムに観察でき、血管系の診断及び外科的手術より侵襲度の少ない血管内手術 ( IVR ) に威力を発揮します。脳・心血管疾患の救命救急検査及び治療に適しています。

乳房撮影検査

早期乳癌の発見に有効です。

用途

    • 専用装置を用いて乳房のエックス線撮影を行ないます。拡大撮影・スポット撮影・ステレオバイオプシー検査に対応可能です。

骨密度測定

保存されている過去のデータ-も今回の測定データと同一グラフ上に表示可能で、経過観察時の変動がよくわかります。

用途

    • DEXA法を用いた専用装置で、一番信頼性が高い腰椎の骨密度を測定します。

検査部位別適応比較

MRI・CT・RI・US検査の部位別適応比較
 部位 病変・診断目的 MRI CT RI US 備考
頭部 出血 急性期の出血の識別はCTが優れています。
梗塞 × 梗塞の早期発見はMRが優れています。
腫瘍 MRは病巣の立体的把握に優れています。
変性疾患 × × MRはコントラスト分解能の良さが現れます。
骨折 × × × 骨そのものの情報を得るのにはCTが有用です。
脳血管の描出 × MRでは造影剤を使用せずに血管の描出が可能です。
認知症 × 認知症の診断には、RI・MRが有効です。
甲状腺 腫瘍、嚢胞 表在に近いため、主要の形態診断には超音波が有効です。機能検査は、RIで行います。
心臓 心内腔、心筋の描出 RIにより心内腔、心筋の抽出が可能です。
心機能計測     RIにより心機能の解析が可能です。
肺野 腫瘍 × CTはヘリカルスキャンにより微小肺癌の発見率が高くなります。
肺血流分布 × ×
腹部臓器・肝臓・胆嚢 腫瘍 × 腹部は撮影時間の短いCTの方が優れていますが、MRも高速撮像の進歩と造影剤の使用で、疾患によってはCTを凌ぐ検査が可能です。(胆道系は安価で信頼性の高い超音波が有利です。)
MRCPは、胆嚢・胆管・膵画像診断法です。
脂肪肝 ×
胆石 ×
総胆管結石 ×
骨盤内 腫瘍 × 卵巣腫瘍や子宮筋腫の診断には、MRIが有効です。
腫瘍 × 軟部腫瘍の描出はCTよりMRの方が優れています。但し骨の破壊についての情報ではCTが有利です。
癌の転移巣発見にはRIの骨シンチが適しています。
関節 半月板、靱帯損傷、リウマチ × MRIは、関節内の病変を明らかにします。
脊髄 腫瘍、変性、脊髄損傷 × MRでは矢状断面の画像により、骨に囲まれた脊柱管内の構造が明瞭に観察でき、椎間板ヘルニアの診断に有効です。
脊柱管狭窄症 × ×
 末梢血管・頸部動脈       比較的浅い部位に存在する血管の描出に適しており、カラードップラーにて血流の評価、塞栓等の観察に適しています。また、動脈硬化の評価には、頚部動脈の観察が有用です。