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乳癌の早期発見と低侵襲手術の最前線

茨城医療センター乳腺科は平成20年4月より開設された新しい科です。現在常勤医5名で診療にあたっています。
近年、乳癌患者数の増加は著しく、女性の悪性腫瘍罹患者数では第一位です。乳癌を克服するには早期発見・早期治療が重要です。そのため、専門性の高い診断と治療および先進的な高度医療を提供する必要があります。
当院では、可能な限り初診時にマンモグラフィと超音波検査、さらには穿刺吸引細胞診を行い、迅速で正確な診断ができる体制が整っています。また、細胞診や針生検による組織診での診断が困難な症例や、非触知の乳腺腫瘤に対し「画像誘導下吸引式装置(マンモトーム)」による病理診断を行っています(図1)。このような的確な診断・治療方針決定のため、病理部および放射線部との乳腺症例検討会を毎週開催しています。

図1

マンモトーム生検

早期乳癌に対する外科治療は、乳房温存治療に加え、腋窩リンパ節転移がない場合に不必要なリンパ節郭清術を省略するため色素と放射性アイソトープを用いた「センチネルリンパ節生検術」を行っています(図2)。さらに、美容的にも満足いただけるよう内視鏡下乳腺全切除術を積極的に行っています。これは、特に広範な乳管内進展を有する乳癌で、従来の乳房温存術では癌を取り残したり、あるいは術後の乳房変形が著しくなる症例に対して、乳房皮膚は温存して乳腺のみを内視鏡補助下に全切除するものです(図3、4)。乳腺切除後、形成外科のご協力により主に筋皮弁を用いて一期的乳房再建を行うことにより、患者さんの生活の質を損なわない外科治療が可能となっています。

図2

センチネルリンパ節生検

その他、外来化学療法センターでの術前術後化学療法やリハビリテーション科での乳腺術後リハビリや、緩和チームなど多くの部署の協力を得ながら、個々の患者さんに合致した満足いただける医療の提供を心がけています。

図3

内視鏡下乳腺全切除術

図4

内視鏡下に超音波メスにて皮膚・乳腺間の靭帯を切断