よくある質問

どんながんが多いの?

部位別にみると、1)肺がん、2)胃がん、3)大腸がん、4)乳がん、5)子宮がんの順です。現在の男性での悪性腫瘍死亡数は、肺がんが1位、2位は胃がん、3位は肝がん、4位は大腸がん、5位は膵臓がんです。女性では、長年乳がんが1位でしたが、現在では大腸ガンが1位、2位は胃がん、3位は肺がん、4位は乳がん、5位は肝がんです。肺がん、大腸がん、乳がんは欧米でも上位であり、食生活の変化などから、日本人が罹るがんも欧米に近いものとなっています。がんと一概に言っても、そのタイプ(病理組織型)は様々です。肺がんは大きく分けて、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどの非小細胞肺がんと悪性度の高い小細胞がんがあり、組織型により治療方針が変わる可能性があります。胃がんや大腸がんなどはそのほとんどが腺がんですが、食道がんや咽頭・喉頭がんのほとんどは扁平上皮がんです。消化管は連続した管腔臓器ですが、発生するがんのタイプは異なり、したがってその治療方針や使用する抗がん剤も異なってきます。がんを専門にする病院でも、臓器別に担当医や治療設備がわかれているのはこのためです。現在、減少傾向にあるのは、胃癌と子宮癌のみで、他の全ての癌は発生率が増加しています。特に肺がん、肝臓がん、大腸がんは今後20年間で約3倍に増加するとも予想されています。しかし、他のがんも確実に増加しており、日本人の死亡原因で、がんが1位を維持し続けることは間違いないでしょう。

何故がんになるの?

がんの研究は、近年目覚しく進歩しています。がん細胞ができる原因は遺伝子異常にあるとされています。しかしがん遺伝子をもっていても100%がんが発生するわけではありません。しかし、それぞれの臓器が長年障害を受けていると、そこにがんが発生しやすくなります。よく知られているのは、肺がんや喉頭がんと喫煙の関連性です。タバコの煙に長年さらされている臓器には細胞に変化が現れます。これを異形成といいます。これはがんそのものでも、前がん状態(がんの予備状態)でもありません。しかし、この異形成細胞は、がん化した細胞を抑えつけることができずがんの侵略を許した結果、同じ場所にがん腫ができてしまうのです。肺がんほど頻度は多くない喉頭がんですが、喫煙者の喉頭がん発生率は非喫煙者の発生率の実に30倍にもなります。他にもウイルス感染により、細胞変化が現れ、がんの発生率を高める場合があります。代表的なのは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスと肝臓がん、ヒトパピローマウイルスと子宮頸がん、EBウイルスと上咽頭がんや悪性リンパ腫などです。これらのウイルスは単独でヒトの生命を奪うほどの力はありません。しかし、体の中に長い間残り、ターゲットになった組織に異形成をもたらすのです。がん遺伝子を排除することはできませんが、異形成を予防することはできるかもしれません。

早期がんと進行がんとは?

早期がんとは、手術や内視鏡的切除などの治療により根治可能な初期のがんのことで、リンパ節転移や遠隔転移のないがんのことです。早期癌は自覚症状に乏しいため発見が困難な場合が多く、発見のためには毎年検診を受けることが重要です。食道がん、胃がん、大腸がんなどの消化器がんの場合は、粘膜内および粘膜下層に留まるがんを早期がんといい、最近では内視鏡的に切除することやレーザー治療が可能になっています。肺がんでは、大きな気管支にできるがんの場合は、気管支壁内に留まる2cm以内のがんが早期がんで、内視鏡的なレーザー治療や腔内照射などで根治が可能です。肺の末梢にできるがんの場合も2cm以下の小型のがんを早期癌といい、胸腔鏡手術や開胸手術で根治できます。早期がん以外の癌を進行がんと言いますが、進行がんは手術、化学療法、放射線治療などで治療されます。また、これらの治療を組み合わせて治療されます(集学的治療)。治療困難な死期の迫っている進行がんを末期がんといい、進行がんと診断されても末期がんとは限りません。

「手遅れ」って何?

がん治療における「手遅れ」とは何でしょう。難しい問題で正しい答えはなかなか出せないかも知れませんが、一つの考え方として「完治できるかどうか」で考えてみます。昔は「がんは治らない病気」と言われていましたが、現在は診断技術の進歩や検診の普及によりがんの「早期発見」が可能となり、また治療法が10年?20年前に比べて格段に進歩したために当時は治療不能であったがんも完治できるようになってきました。今や早期がんは治る病気と考えてもよいでしょう。しかし医学の進歩した現在でも局所で進行して見つかったがん、転移をおこしたがんは完治が難しく「手遅れ」と言えるかも知れません。だから早期発見ができるよう、何か症状があるときは早めにかかりつけの先生に相談したり、病院を受診したりすることが大事です。症状がなくても定期的に健康診断を受診することも大事です。しかし最近は進行したがんであっても種々の治療を駆使することで完全に治す事ができないながらも日常生活に困らない程度におとなしくさせること「腫瘍と共存する」という考え方が出てきました。痛い、苦しいといった症状がなく、日常生活が送れれば完治ではなくとも有意義な人生を過ごす事ができます。ですから決して諦めることなく信頼できる医師、看護師らに相談することが大事です。その意味では治療に「手遅れ」はないと言えるかも知れません。

どんな症状(痛いの)?

がんになった場合、早期では共通した症状はありません。どこのがんであっても何の症状もない場合が多いのです。中には類似した良性の病気と同様の症状が出てがんが見つかる場合もあります。例えば胃の具合が悪いと思って内視鏡をしたら胃がんが見つかったとか、尿の出が悪いと思っていたら前立腺肥大症と同時に前立腺がんも見つかったという場合などです。しかし多くの場合は、痛みなどの強い症状ではなくちょっと便に血が附く(大腸がん)とか尿が赤い(膀胱がん)ことがあったとか、鼻血(上顎癌)、血痰(喉頭がんや肺がん)など血液が混ざることから異常に気付くことも多いです。また以前なかったような「しこり」を触れるようになった、ほくろやしみが大きくなった、物の見え具合や聞こえ具合の異常が初発症状であることもあります。昔から言われているように食欲は変わらないのに体重が減ってきたということがサインである場合もあります。このように言われると些細な事もがんの徴候ではないかと心配になります。全てのがんを早期にとらえることができる共通した検査がないものかと思うのですが、残念ながら現在まだそのような便利な検査はありません。PETというがんに共通した代謝の状態を調べる全身検査がありますがまだ万全ではありませんし、かなり高額なため頻繁に検査を受けるわけにも行きません。科学の進歩により、この人類共通の課題が解決される日も来ると思われます。人間の遺伝子解析は既に済んでいるのですから。不幸にしてがんが進んでしまうと、今度はどのがんであっても同様な症状になります。日常生活に用いるエネルギーをがんに取られてしまうために体力がなくなり、内臓ががんに侵されるとその臓器が役立たなくなるため臓器の機能不全になります。骨や神経を侵すと痛みを生じますし、出血して腫れたり貧血になったりします。現在はこのようにがんが進行してしまった場合、積極的に鎮痛剤を用いて苦痛を除去し、できるだけ日常的な生活が送れるようにする治療が行われます。

手術した後の通院は?

がんの種類、病状によります。早期がんの場合は、一般的には1年に1度程度の定期検査が行われます。通院不要の場合もありますが、医師の指示に従って下さい。進行がんの場合は、抗がん剤の内服治療を行いながら、3~6か月に一度、単純X線、CTや超音波などの画像診断、腫瘍マーカーなどの血液検査を受けることになります。抗がん剤を投与する場合、定期的に注射を行ったり、飲み薬を服用します。患者さんの手術後の状況により通院回数はかわってきます。よく主治医の先生に説明を受け、良い体の状態を保つようにしましょう。

抗がん剤は必要?

再発や治療不能の場合に、担当医師の治療に納得がいかないなどの理由で、様々な医療施設を転々とするがん患者さんを言います。治療前にセカンドオピニオンを求めるのとは異なります。現在治療法は標準化されていますので、施設間の差は少なくなっています。病院選びで迷っている間に、がんは進行してしまいます。患者さんと医師間の意志の疎通が不良であることも一因ですが、良い人間関係が築けるかどうかは治療前の説明でわかるとされます。疑問な点はよく質問し、納得がいくようにすることがよいでしょう。不安要素がある場合、セカンドオピニオンを仰ぐこともよいでしょう。信頼できる主治医を選んで下さい。たとえば手術が多い施設は、手術、病棟、外来の担当が同じ医師とは限らず、分業される場合がありますので、手術を受ける前に確認して下さい。何事も最初が肝要です。

再発したら?

初回の治療の方法によっても違いがありますし、がんの種類によっても再治療の方法は異なります。また内科的治療か外科的治療かによっても再発の場合治療方法は様々です。初回と同じ治療方法を施行することもあります。手術が可能なら手術を行います。できない場合は抗がん剤による化学療法、放射線療法を行うこともあり、化学療法、放射線療法により延命効果が期待されることもあります。最近は化学療法が外来で行えるようになってきました。よりよい生活をおくるため、生活の質(QOL)を考慮することが大事です。無治療で自然経過を見る場合もあります。再発の場合は、患者さんの状態により治療方法を考慮することが最近では基本となっています。

がん難民って何?

当院ではDEXA法という方法で測定しています。この方法は痛みは全くなく、絶食の必要もありません。ですから、患者さんは来院されたらそのまま検査が受けられます。患者さんは台の上に横になって、5分程度じっとしていれば終わりです。X線装置なので被曝のことが気になると思いますが、胸部X線検査の100分の1程度ですから心配はいりません。骨密度の低下の判定は20から40までの健康な人の骨密度を100%として、どのくらい減っているかで表します。この値が70%以下の場合、骨粗鬆症と診断されます。