よくあるご質問
中央検査部
血液は体にどのくらいあるの?
男:70±4ml/kg、女:63±4ml/kgで、
おおよそ体重の1/13程度つまり70kgの成人男子の循環している血液量は約5リットルあることになります。
血液こんなに採っちゃって大丈夫?
安心して腕をお・み・せ・く・だ・さ・い!?
血液が黒みたいだけど…?
本当にあった青い血の話
宇宙人が、人間に鉄砲で打たれて青緑色の血を流す…。これはフィクションですが、実際に青い血の生物は存在します。現に昆虫等は、この青緑色の血液を持っています。ここで疑問が沸きます 人間が鉄で赤いならその青は何なのでしょう?
それも簡単!勘の鋭い人はもう気がついたでしょう、財布、小銭入れの中に入っている、古ぼけた青緑色。そう、昆虫達は血の成分を鉄の代わりに銅にしたのです。そう考えるとなっとくできたでしょ。
わたしの血ってドロドロ?
血が濃い(赤血球等の成分が多い):特に中年の男性に多いのですが、高血圧・高コレステロール・血栓性疾患(血が固まる病気)などを伴って赤血球の数が増えることがあり、これをストレス多血症といいます。血管の弾力を失った血管や、喫煙などで細くなった血管では血液がうっ血(停滞)して赤血球数が増加したように測定されることがあります。
血がアプラっぽい・血球が硬い(コレステロール、中性脂肪、血糖値が高い):コレステロールが過剰摂取によって体内に多く蓄積されるとまず、血管壁に沈着して動脈硬化を引き起こし、そこから「心筋梗塞」「脳出血」「脳血栓」「クモ膜下出血」「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」「腎臓病」「肝臓病」「胆石症」「痛風」「心不全」「狭心症」「不整脈」など、いわゆる「成人病」のほとんどの原因を引き起こしています。さらに…コレステロールは体内に溜まっていても、初期症状や自覚症状が現れなく、気付いた時には既に病状が進行する。いわゆるサイレントディズィーズ(沈黙の病気)と言われています。中性脂肪は食事などをすると増えますが通常は酵素の働きで次第にさがります。しかし過剰摂取や運動不足により酵素の働きが追いつかなくなると体に蓄積してしまいます。中性脂肪の蓄積は脂肪細胞の増加を引き起こしその細胞から分泌されるPAI-1という血栓を溶かさなくする物質を増やしてしまい、体にできてしまった血栓の成長を結果的に促進してしまいます。
また、血糖値が高くなると赤血球の膜蛋白の変性、血液の浸透圧の変化などにより赤血球が細い血管などを通れなくなって血管を詰まらせる原因になることもあるといわれています。
血小板がかたまりやすい:ストレスなどにより交感神経が刺激されると血液の中のカテコールアミンという血小板を活性化させるホルモンが増えてしまいます。これはかつて人間が狩りをしていたころ、敵に遭遇したとき緊張することで怪我などによる出血から身を守る防御機構の名残といわれています。しかし現在はそれがあだとなってしまって動脈硬化の原因の1つになってしまいました。臨床検査的には血小板が活性化されると血小板が放出するβトロンボグロブリンや PF4という蛋白を測定したり、血小板の凝集力を調べます。
採血のあとが消えないです。
凝固検査に異常がない場合は「単純性紫斑病」といって、業界用語では「悪魔の爪あと」といわれます。若い女性に多く原因は遺伝性に細い血管が弱いとか、月経周期と関連しているからホルモンが関与しているなど言われますが、今ひとつはっきりしたことは分かっていません。通常青あざを押しても痛みはなくいつのまにか消えてしまいます。あと老年の方は血管が多少もろくなっている場合があり、弱い刺激でも青あざが出来てしまうこともありますが、いわゆる体質なのであまり心配なさらないでください。
じゃあどうして?
え~、これは懺悔が必要ですね。
採血をする際、血管に針を刺すわけですから、多少皮下にもれてしまうことがあります。血管が細いヒトですと、採血技術も難しくて多少血管を傷つけてしまうこともあります。採血量が多くなりますと採血している時間も長くなって、もれ出る量も多くなってしまいます。このため皮下に血液がたまった状態つまり内出血のような状態になってしまいます。こうなりますと、家に帰って傷口を見たとき青あざになっていて、これはたんこぶと同様に場合によっては痛みも伴うことがあってびっくりさせてしまうことになります。
ですから、採血した後最低5分間は強く圧迫して止血してください。また、筋肉注射とは違いますからもまないようにお願いします。もし青あざになっていても、数日で周辺組織に吸収されて消えていきます。またその際青あざが黄色く変色することがありますが、吸収される過程で赤血球の色素が変化しているだけですからご安心下さい。
採血ってこんなに必要なの?
入院が決って看護婦さんが採血しにきた時その本数をみてよけいに具合が悪くなってしまう方も多いのではないですか?ではなぜそのように多い本数になってしまうのでしょう。一般的に入院時に採血する試験管の種類は5本位だと思います。
種類 | キャップの色 |
量 | 把握できる部分 |
血液1 | 紫 | 2cc | 血球算定 |
血液2 | 茶色 | 9cc | 生化学 |
血液3 | 特殊 | 1.5cc | 血沈 |
血液4 | 長い紫 | 7cc | 血液型 |
血液5 | 黒 | 3cc | 凝固検査 |
これらの試験管のなかにはそれぞれ検査の内容に従った「血液を固まらないようにする薬」または、「血液をより強固に固まらせる薬」などが入っているため、別々に採血しなければなりません。しかし1本に要する血液の量は表のようにわずかで、なるべく全量で20ccを超えないようにしてあります。
こんなに検査項目見なくてはいけないの?
検査項目 | 把握できる部分 |
血球算定 | 炎症、貧血、出血 |
総蛋白 | 肝臓、腎臓、免疫細胞 |
アルブミン | 肝臓、腎臓 |
総ビリルビン | 肝臓、胆管、貧血(溶血) |
AST | 心臓、肝臓、筋肉 |
ALT | 肝臓 |
LDH | 心筋、肝臓、肺、溶血 |
CK | 筋肉、脳 |
ALP | 骨、肝臓、腸、副甲状腺 |
AMY | 膵臓 |
γGTP | 腎臓、肝臓 |
CHE | 肝臓、貧血、中毒、腎臓、神経 |
UA | 細胞核、痛風 |
CRE | 腎臓、筋肉 |
Na k Cl | 全身状態 |
Ca | 全身状態、骨、腎臓 |
Glu | 糖尿病、ホルモン、炎症 |
T-Cho | 全身状態、ホルモン、肝臓、血管 |
HDL-C | 抗動脈硬化 |
TG | 全身状態 |
CRP | 炎症 |
左の横文字の内容は体の中で働く酵素であったり、蛋白の種類であったり、脂肪の種類であったりしますが、詳しくはまたあとで別の項で説明します。