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よくあるご質問

中央検査部

血液は体にどのくらいあるの?

RISA(131I標識ヒト血清アルブミン)法という方法でからだの中を循環している血液量を測定すると個人でほぼ一定しています。血液の大部分はからだの中を循環していますが、一部は肝臓や骨髄などに停滞しています。現在停滞している血液量は測定する手段をもちません。したがって循環している血液量の基準値を示します。
男:70±4ml/kg、女:63±4ml/kgで、
おおよそ体重の1/13程度つまり70kgの成人男子の循環している血液量は約5リットルあることになります。

血液こんなに採っちゃって大丈夫?

70kgの成人男子の循環している血液量は約4900mlあるといわれています。1日につくられる赤血球の量は1日に1/120が破壊・生成されることから考えて、40.8ml生成されることになります。ではそれ以上血液を抜いたら貧血するかといえば、そうはなりません。血液は、たんぱく質や水分を含む液体成分と赤血球などが含まれる固形成分に分けられますが、まず液体成分は組織の代謝の結果1日約300mlの生成される水分などから速やかに補給されます。また赤血球などの固形成分は骨髄や肝臓などにプールしてあるのでそこから速やかに補充されます。しかも血液を造る場所の骨髄は1~3週間で2~3倍血液を造る余力を残しています。生命の危険があるのは循環血液量の1/3すなわち約2リットルが失われるときなので1回の採血量の約20mlでは心配ないことになります。
安心して腕をお・み・せ・く・だ・さ・い!?

血液が黒みたいだけど…?

人間の血が赤いのは、鉄分を含むヘモグロビンという赤い色素のせいです。血のニオイが鉄サビのニオイに近いのも、このヘモグロビンの鉄分に影響されます。さて、そのヘモグロビンの働きは、みなさんご存じの通り、呼吸によって肺に送り込まれた酸素を、カラダのアチコチへ運ぶ役目をします。このヘモグロビンは、酸素を取り込む(酸化)と、鮮やかな赤い色になります。 鉄サビが赤いのも、酸化した鉄だからなのです。ところが、ヘモグロビンは酸素を送り終える(還元する)と、ドス黒い赤色に変わります。この酸化した血は動脈を、還元した血は静脈を流れています。皮膚に近いところは静脈が通っていて、動脈はその逆に皮膚から遠いところ、つまり体の内部に近い所を通っているわけですから、元々、肌を透して見た血はドス黒い赤のはずです。だけど、黒ではありません!なぜ黒い血が青になるかというと、答えは簡単。血管との間に皮膚があるから、色が変わって、青い色に見えるのです。
本当にあった青い血の話
宇宙人が、人間に鉄砲で打たれて青緑色の血を流す…。これはフィクションですが、実際に青い血の生物は存在します。現に昆虫等は、この青緑色の血液を持っています。ここで疑問が沸きます 人間が鉄で赤いならその青は何なのでしょう?
それも簡単!勘の鋭い人はもう気がついたでしょう、財布、小銭入れの中に入っている、古ぼけた青緑色。そう、昆虫達は血の成分を鉄の代わりに銅にしたのです。そう考えるとなっとくできたでしょ。

わたしの血ってドロドロ?

常に日本人の死因の上位を占める脳血管障害、冠動脈閉塞性疾患の基礎的病変である動脈硬化は生活習慣病にもなっていて「ドロドロ血液」が原因などと最近マスコミなどで取り上げられ、話題になっているので気になる方も多いようです。ではドロドロ血液ってなんでしょう?実はそんな表現は臨床検査にはありません。一般に言われているドロドロ血液をまとめると血が濃い・血がアプラっぽい・血球が硬い・血小板がかたまりやすいことをドロドロ血液と言うようです。動脈硬化の原因などを言い表す上で理にかなっている部分もあります。では臨床検査にどう反映されるのでしょう?
血が濃い(赤血球等の成分が多い):特に中年の男性に多いのですが、高血圧・高コレステロール・血栓性疾患(血が固まる病気)などを伴って赤血球の数が増えることがあり、これをストレス多血症といいます。血管の弾力を失った血管や、喫煙などで細くなった血管では血液がうっ血(停滞)して赤血球数が増加したように測定されることがあります。
血がアプラっぽい・血球が硬い(コレステロール、中性脂肪、血糖値が高い):コレステロールが過剰摂取によって体内に多く蓄積されるとまず、血管壁に沈着して動脈硬化を引き起こし、そこから「心筋梗塞」「脳出血」「脳血栓」「クモ膜下出血」「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」「腎臓病」「肝臓病」「胆石症」「痛風」「心不全」「狭心症」「不整脈」など、いわゆる「成人病」のほとんどの原因を引き起こしています。さらに…コレステロールは体内に溜まっていても、初期症状や自覚症状が現れなく、気付いた時には既に病状が進行する。いわゆるサイレントディズィーズ(沈黙の病気)と言われています。中性脂肪は食事などをすると増えますが通常は酵素の働きで次第にさがります。しかし過剰摂取や運動不足により酵素の働きが追いつかなくなると体に蓄積してしまいます。中性脂肪の蓄積は脂肪細胞の増加を引き起こしその細胞から分泌されるPAI-1という血栓を溶かさなくする物質を増やしてしまい、体にできてしまった血栓の成長を結果的に促進してしまいます。
また、血糖値が高くなると赤血球の膜蛋白の変性、血液の浸透圧の変化などにより赤血球が細い血管などを通れなくなって血管を詰まらせる原因になることもあるといわれています。
血小板がかたまりやすい:ストレスなどにより交感神経が刺激されると血液の中のカテコールアミンという血小板を活性化させるホルモンが増えてしまいます。これはかつて人間が狩りをしていたころ、敵に遭遇したとき緊張することで怪我などによる出血から身を守る防御機構の名残といわれています。しかし現在はそれがあだとなってしまって動脈硬化の原因の1つになってしまいました。臨床検査的には血小板が活性化されると血小板が放出するβトロンボグロブリンや PF4という蛋白を測定したり、血小板の凝集力を調べます。

採血のあとが消えないです。

よくぶつけたあと紫色になるから?
凝固検査に異常がない場合は「単純性紫斑病」といって、業界用語では「悪魔の爪あと」といわれます。若い女性に多く原因は遺伝性に細い血管が弱いとか、月経周期と関連しているからホルモンが関与しているなど言われますが、今ひとつはっきりしたことは分かっていません。通常青あざを押しても痛みはなくいつのまにか消えてしまいます。あと老年の方は血管が多少もろくなっている場合があり、弱い刺激でも青あざが出来てしまうこともありますが、いわゆる体質なのであまり心配なさらないでください。
じゃあどうして?
え~、これは懺悔が必要ですね。
採血をする際、血管に針を刺すわけですから、多少皮下にもれてしまうことがあります。血管が細いヒトですと、採血技術も難しくて多少血管を傷つけてしまうこともあります。採血量が多くなりますと採血している時間も長くなって、もれ出る量も多くなってしまいます。このため皮下に血液がたまった状態つまり内出血のような状態になってしまいます。こうなりますと、家に帰って傷口を見たとき青あざになっていて、これはたんこぶと同様に場合によっては痛みも伴うことがあってびっくりさせてしまうことになります。
ですから、採血した後最低5分間は強く圧迫して止血してください。また、筋肉注射とは違いますからもまないようにお願いします。もし青あざになっていても、数日で周辺組織に吸収されて消えていきます。またその際青あざが黄色く変色することがありますが、吸収される過程で赤血球の色素が変化しているだけですからご安心下さい。

採血ってこんなに必要なの?

こんなに本数いるの?
入院が決って看護婦さんが採血しにきた時その本数をみてよけいに具合が悪くなってしまう方も多いのではないですか?ではなぜそのように多い本数になってしまうのでしょう。一般的に入院時に採血する試験管の種類は5本位だと思います。
種類 キャップの色
  把握できる部分
血液1 2cc 血球算定
血液2 茶色 9cc 生化学
血液3 特殊 1.5cc 血沈
血液4 長い紫 7cc 血液型
血液5 3cc 凝固検査

これらの試験管のなかにはそれぞれ検査の内容に従った「血液を固まらないようにする薬」または、「血液をより強固に固まらせる薬」などが入っているため、別々に採血しなければなりません。しかし1本に要する血液の量は表のようにわずかで、なるべく全量で20ccを超えないようにしてあります。

こんなに検査項目見なくてはいけないの?

入院した時の検査データは貴重な基礎データになります。病気自体がどうよくなってくのか、または入院中に使った薬が効いたのか、時には薬によって悪い影響は出てないかなど、これらは血液のデータに現れてくることが多いからです。とはいってもナンデモカンデモ検査していては医療費高くなってしまいますし、無駄も出てしまいます。私達の病院は肝臓や腎臓など様々な臓器の状態を効率よく捕らえられるように、また医療費をなるべく抑制できるように検査項目を選んで検査を行っています。例えばこの病院の依頼数ベスト1の、緊急セット検査の内容を見てみましょう。見て頂けると分かるように、検査項目の組み合わせによって全身状態が把握できるようになっています。
検査項目 把握できる部分
血球算定 炎症、貧血、出血
総蛋白 肝臓、腎臓、免疫細胞
アルブミン 肝臓、腎臓
総ビリルビン   肝臓、胆管、貧血(溶血)
AST 心臓、肝臓、筋肉
ALT 肝臓
LDH 心筋、肝臓、肺、溶血
CK 筋肉、脳
ALP 骨、肝臓、腸、副甲状腺
AMY 膵臓
γGTP 腎臓、肝臓
CHE 肝臓、貧血、中毒、腎臓、神経
UA 細胞核、痛風
CRE 腎臓、筋肉
Na k Cl 全身状態
Ca 全身状態、骨、腎臓
Glu 糖尿病、ホルモン、炎症
T-Cho 全身状態、ホルモン、肝臓、血管
HDL-C 抗動脈硬化
TG 全身状態
CRP 炎症

左の横文字の内容は体の中で働く酵素であったり、蛋白の種類であったり、脂肪の種類であったりしますが、詳しくはまたあとで別の項で説明します。

採血はいつ受けたらいいの?

検査項目によっては食事の影響を受けるものもあります。そのしくみには大きく分けて2通りあって影響を受けるのは、血液内濃度があがってしまう為に正確な基準が得られないもの。または血液が濁ってしまうために測定値がばらついてしまうものがあります。その他、総蛋白のように立っているときと、寝ているときの値が大きく変わるものもあります。従って、検査は通常朝食前安静時が基本となります。しかし、外来ではそんなわけにもいかないですし、検査項目によっては影響を受けないものもあるので、先生にどういう状態で採血したのかお話すると良いでしょう。