集中治療部
特色
当院の集中治療部は、平成3年7月に麻酔科医が中心となり中央診療部門として開設されました。現在、個室3部屋を含む8床で構成されている。集中治療室利用患者の増加に対応するため、集中治療室全体(ICUとCCU)のベッドコントロールを集中治療部専従医が一括して行っています。
開設時より積極的に血液浄化療法を導入、重症喘息症例に対する吸入麻酔療法やてんかん重積状態に対する全身麻酔療法、ROSCに対する脳低温療法も積極的に取り入れています。当院は2次救急医療機関ですが、3次レベルの救急搬送も多いため、救急外来からの重症患者すべてを収容するGeneral なICUという位置づけです。

ICU

部長(専従医) 准教授 柳田 国夫
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- 日本麻酔科学会・日本専門医機構麻酔科専門医
- 日本救急医学会救急科専門医
- ICD制度協議会ICD

助教(専従医) 益本 憲太郎
- 日本麻酔科学会麻酔科専門医

助教(専従医) 武田 明子
- 日本麻酔科学会麻酔科専門医

助教(専従医) 渡邊 裕介
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本感染症学会 感染症専門医
- 日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
- ICD制度協議会ICD

助教(専従医) 黒田 祐子
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本内科学会 総合内科専門医

助教(兼任医) 大木 健太郎
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本腎臓学会 認定専門医
- 日本透析医学会 透析専門医
兼任医:
- 非常勤:久保田愛子(毎週木曜日)
- 兼任医(麻酔科):室園美智博麻酔科科長、岩瀬直人、林 明慶、五十嵐 冴栄
- 兼任医(循環器内科):CCU参照
師長:石塚かつ子
- 看護師:32名、看護助手1名、医療事務1名
ICUの特色
集中治療部医師は重症患者の全身管理に重点を置き、手術やより専門的な治療は既存各科の専門医(主治医)にまかせ、双方協力して質の高い医療を提供することを目標としてまさす。開設当初より、CCU患者を除き、指示系統を統一するため注射指示を含め指示出しは集中治療部医師が行うセミクローズドタイプのICUで、特定集中治療室管理料3の加算を取っています。
集中治療室(ICU)は交替勤務制で、集中治療部専従医4名と集中治療部所属医師2 名に加え、兼任医の協力を得て運営しています。
看護師は2交代制で、師長1名、主任1名を含む合計29名の看護師が配置されていて、その中に急性・重症患者看護専門看護師/集中ケア認定看護師1名と特定行為に係る看護師1名が含まれています。
毎日9時00分から多職種(ICU医師・看護師、主治医、CE、管理栄養士など)によるカンファレンスを実施しています。
コロナ禍の当ICUは、個室3床に陰圧装置を配備し重症コロナ患者3名の管理を可能とし、院外から重症コロナ患者2名の受入れと、1床は院内コロナ患者が重篤化した場合の受け皿(orパンデミック時)とし、看護師人数の関係から、コロナ2名在室時は他4名、コロナ1名在室時は他6名の入室患者を上限として、一人でも多くの重要患者を管理できるようにしています。
人工呼吸器、輸液ポンプ、微量注入器の管理・メンテナンスから診療機器の使用準備、血液浄化やIABP、PCPSの導入など、24時間臨床工学技士の協力が得られる体制が整っています。
茨城県稲敷地区メデイカルコントロール協議会事後検証会の開催
- 柳田医師は、毎月、稲敷地域MC協議会関係構成機関ならびに関係指令課員及び救急隊員等と、特定行為に関わる救急活動の事後検証および症例検討会を実施しています。
MET(medical emergency team)
- 集中治療部医師は、METとして、院内のRRS(Rapid Response System)の中心的役割を果たしています。
NST(Nutrition support team)
- 集中治療部医師3名が院内NST(毎週水曜日の部、院内ラウンドは14時頃から)に参加、急性期からの栄養管理に関与している。
RST(Respiratory support team)
- 集中治療部医師2名が院内RST(院内ラウンドは毎週木曜日10時から)に参加、院内の人工呼吸器装着患者(NPPV、NHF含む)の呼吸管理に関与しています。
感染制御部
- 集中治療部医師1名が院内感染制御のために感染制御部員として活動しています。
学会認定施設
- 日本集中治療医学会専門医研修指定施設です。
治療・成績
令和3年度は、集中治療室に618人の入室があり、そのうちICU管理は519名、CCU管理は99名でした。集中治療室全体の1日の平均患者数は4.1 (昨年3.7人)、病床利用率は51.6%(昨年45.7%)、平均在室日数は10.5日(昨年11.3日)、ICU管理患者の平均在室日数は13.9日(昨年15.2日)、令和3年度の延患者数は1507(昨年1335名)、ICU管理の延べ患者数1269名(昨年1067名)。
入室者618名の内救急外来からの入室は223例で約36%(昨年176例)、転院直入12件を含みその内COVID-19が10件でした。
1)主科
- 主科の内訳は、脳神経外科173 例、消化器外科105 例、循環器内科は95例(多くはCCU)、呼吸器外科96例、呼吸器内科30例、整形外科26例、消化器内科20例、腎臓内科19例、泌尿器科18例、歯科口腔外科12例、代謝内分泌内科7例、耳鼻咽喉科3例、総合診療科1例、皮膚科1例、婦人科1例でした。
2)治療内容
- 人工呼吸管理症例は221(入室全体の36%)、抜管に至った事例では平均87時間(最長432時間)の人工呼吸管理時間でした。
- RRTは62例に施行(CHDF 62例、PMX-DHP 3例、SepXiris 46 例、PE 1例、Bil吸着1例)しました。
- COVID-19 は26名の入室があり、人工呼吸管理は19名、腹臥位療法は12名、ECMOは4例に施行しました。その内、挿管せずNHFで管理した症例は7例でした。
3)死亡例検討
- 死亡例は33例、内訳は救急外来からの23例(蘇生に成功したCPAOA 14例を含む)と病棟急変の3例、術後死亡の3例でした。死亡例の中にCOVID-19患者3例が含まれます。
4)茨城県稲敷地区メデイカルコントロール協議会事後検証会の開催
- 令和3年度稲敷地区MC協議会事後検証会を集合形式で合計7回開催し、合計528事例の事後検証を行いました
5)ICUサーベイランス(2021年4月1日~2022年3月31日)
1.BSI(Blood stream infection) 全23件
- ・症例内訳
- 尿路感染症 7件
- カテーテル関連血流感染症 3件
- 肺炎 2件
- 穿孔性腹膜炎/胆管炎/肝膿瘍/皮膚軟部組織感染症/手術部位感染症/肺膿瘍/子宮留膿腫 1件
- Focus不明 4件
- ・起因菌内訳
- ・グラム陽性球菌
- Staphylococcus aureus(MSSA 1件 MRSA 4件) 5件Staphylococcus epidermidis/Enterococcus faecalis/Enterococcus faecium/Streptococcus pyogenes 1件
- ・グラム陽性桿菌
- Bacillus cereus 2件
- Corynebacterium sp. /嫌気性グラム陽性桿菌(菌名判明せず) 1件
- ・グラム陰性桿菌
- Escherichia coli 5件
- Klebsiella pneumoniae/Klebsiella aerogenes/Proteus mirabilis 2件
- Klebsiella oxytoca/Enterobacter cloacae/嫌気性グラム陰性桿菌(菌名判明せず) 1件
- ★評価★
- 2021年度は尿路感染症による敗血症性ショックのICU入室症例が多かった。消化器疾患や婦人科疾患など多岐にわたる症例があり、循環動態が不安定な中、できる限り精査に努めた結果と考える。Focusが不明な症例は、ほとんどは循環動態が不安定で精査出来なかった症例である。今後も引き続きfocus検索に努めていく。
2.尿路感染症 全12件
- ・起因菌内訳
- Escherichia coli 7件(うち1件 ESBL)
- Klebsiella pneumoniae/Proteus mirabilis 2件
- Citrobacter koseri/Klebsiella aerogenes/Enterobacter cloacae 1件
- ・尿道カテーテル挿入の有無
- 尿道カテーテルあり 4件(10日間/他挿入期間不明)
- 尿道カテーテルなし 8件
- ★評価★
- 今年度は尿路感染症によるICU入室症例が多く、前年度(1件)と比較し多かった。ほとんどが救急外来からの症例であるが、尿道カテーテル挿入例は3件一般病床、1件はICU内で発生した症例である。体液コントロールが必要な症例が多い部署ではあるものの、毎日deviceが必要がどうかの評価は必要であり、不要な場合はすぐに抜去できるよう努めていく。
3.人工呼吸器関連肺炎 全17件
- ・人工呼吸器装着日数
- 最短 3日間
- 最長 34日間
- 平均 10.3日間
- ★評価★
- 全17件中9件は重症COVID-19の症例であった。当院は県内でもECMOを実施できる施設として、ECMOが必要な超重症COVID-19患者の受け入れを行ってきた結果、長期間挿管状態となる症例が多く、結果人工呼吸器関連肺炎の件数は昨年より増えた。人工呼吸器関連肺炎予防バンドルを参考にしながら、発生予防に努めていきたい。
4.カテーテル関連血流感染症 全4件
カテーテルの種類 | ルーメン数 | 挿入場所 | 挿入日数 | 起因菌 | |
1 | 透析用カテーテル | 3 | 左大腿静脈 | 7日間 | Bacillus cereus |
2 | 透析用カテーテル | 3 | 右大腿静脈 | 14日間 | Candida albicans |
3 | 末梢動脈カテーテル | - | 右橈骨動脈 | 23日間 | Bacillus cereus |
4 | 中心静脈カテーテル | 3 | 右内頚静脈 | 29日間 | Staphylococcus epidermidis |
- ★評価★
- 全件数は昨年と大きく変化はなかったが、挿入気管が長期のものが多かった。3例目の末梢動脈カテーテルに関しては挿入する場所が少ないこともあり、定期的な入れ替えは行っていないが、ある程度の指針を決めることが今後の課題である。4例目の中心静脈カテーテルに関しては病棟で挿入された症例であるが、集中治療部で挿入したカテーテルをそのまま一般病床で使用することもあり、一般病床へ転床する際に主治医と情報を共有することで、カテーテル関連血流感染症の発生の予防に努めたい。
CCU

院内講師 阿部 憲弘
- 臨床研修指導医

助教 小松 靖
専門:循環器一般
- 日本内科学会認定内科医
- 臨床研修指導医

兼任准教授 大久保 豊幸
- 日本循環器学会認定循環器専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 臨床研修指導医
- 医学博士
CCUの特色
24時間循環器内科医師が重症心臓疾患の治療を行えるような体制をとっています。
(集中治療室に循環器内科患者が入室した場合、そのベッドをCCUと捉えます。)
入室対象疾患
急性心筋梗塞、狭心症、重症心不全など
医療設備
カラードプラ心超音波断層図、IABP、PCPSなどを常備
医療設備
カラードプラ心超音波断層図、大動脈バルーンパンピング、経皮的心肺補助装置などを常設