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歯科口腔外科

特色

  • 顎口腔領域に発生する様々な疾患のうち、口腔外科疾患を中心とした一般歯科医院では対処できない症例に対応します。
  • 口腔外科専門医による、大学病院ならではの高度医療を提供しており、特に、VRなどの最先端のコンピューター支援手術を積極的に導入しております
  • 患者さんに寄り添い、静脈内鎮静などで安心・安全な無痛・低侵襲治療を提供します。
  • 口腔ケアを通じて病院全体の患者さん、さらに地域全体の口腔の健康に貢献するような医療の実践に取り組んでおります

 

口腔・顎顔面インプラント専門医による顎顔面インプラントセンターを開設しました

歯を喪失した人に対するデンタルインプラント(人工歯根)は、最近、広く普及し、一般的な歯科治療の一つとなりつつあります。当科では、2022年6月より顎顔面インプラントセンターを設立し、従来に増して充実した診療体制の提供を開始しました。当センターの特徴は、日本口腔インプラント学会・顎顔面インプラント学会の専門医・指導医により、医科大学病院の特徴を生かし全身状態や隣接組織に十分配慮した、最先端の研究成果を基にした科学的で安全な治療が可能なことです。現体制となった2015年以降、当院で埋入されたインプラントの98.8%(343/347本)は現在もしっかり機能し、患者さんの快適な生活を支えております

なお、齲蝕、義歯、歯周病などの一般的な歯科治療に関しては、当院との密な連携の上地域の歯科医院をご紹介させていただきます。また初診当日の外科処置は、緊急を要するものを除きお断りしておりますので、その旨よろしくお願いいたします。

施設認定

    • 日本口腔外科学会認定研修施設
    • 日本有病者歯科治療学会認定施設
    • 日本顎顔面インプラント学会認定施設
    • 日本睡眠学会登録施設
    • 日本小児口腔外科学会認定研修施設
    • 日本顎関節学会認定研修施設

診療内容

口腔外科一般(埋伏歯や智歯周囲炎、ハイリスク有病者の観血的処置など)

口腔にはさまざまな常在菌が潜んおり、埋伏智歯、根尖病巣、歯周病などの感染病巣を有すると、より重篤な顎炎、蓄膿症、さらに顔面の蜂巣炎になるだけでなく、感染性心内膜炎や誤嚥性肺炎などのさまざまな全身疾患の原因となることが明らかになっております
また、最近はビスフォスフォネートなどの薬剤が顎骨に重篤な炎症と関連することも明らかにされつつあり注意が必要です。抜歯などの小手術、重篤な感染症への対応、また、全身的な疾患を有するハイリスクな患者さんへの観血処置などを行います。外来および入院下で静脈内鎮静による無痛治療も行っており、安心・安全な処置が受けられます。
 

矯正歯科に関連する処置(顎変形症手術)

受け口、顔がまがっているなどの骨格性の咬合異常の手術適応例に対し、経験豊富な術者が対応します。専用ソフト(Ploplan)や3Dモデルなどコンピューター支援診断を駆使した正確な診断の許、超音波切削機器(ソノペット)、内視鏡、ナビゲーションなどの最先端機器を使用し安全な手術を行い、関連医科診療科と密な連携し極めて短い入院期間を実現しております。かみ合わせや顔貌の問題でお悩みの方はぜひご相談ください。なお、抜歯、開窓、コルチコトミー、骨延長などの矯正に関連するさまざまな外科処置に関しても対応が可能で、県内さまざまな地域の矯正歯科専門医と連携した集学治療が可能です。
 

腫瘍

顎口腔領域には様々な腫瘍ができます。これらは、良性だけでなく悪性の癌もあり注意が必要ですが、口腔癌は早期発見が最も重要です。当科では最新の診断機器を用いて検査診断を行い、耳鼻咽喉科、放射線科、形成外科など関連各科と連携して集学的な治療を行います。特に、早期の口腔癌に関する低侵襲治療や、腫瘍により大きく顎骨が欠損した患者に対し、顎骨を再建し保険診療によるインプラントを併用した義歯の作製なども可能です。
 

顎関節疾患

顎が痛い、口が開かないなど顎関節に関連した症状の多くは顎関節症が原因のことがほとんどですが、その他の病気が潜んでいることもあり注意が必要です。当科ではMRICTによる正確な画像診断の許、一般歯科医院で行うスプリントによる保存的な治療だけでなく、パンピングマニピュレーションや内視鏡手術などの高度な外科的治療法にも対応しております。
 

顎顔面外傷

転倒などにより顔面を強打すると、歯が折れたり唇などの周囲の軟組織が損傷するだけでなく、上下の顎骨が折れることもあります。放置するとかみ合わせがずれたり、幼児では、永久歯に障害が及ぶこともあります。当科では、これらの状態に迅速に対応し治療します。
 

口腔粘膜疾患

口内炎、扁平苔癬、白板症や天疱瘡などさまざまな口腔粘膜疾患が生じますが、これらは全身的な病気の一症状であったり、癌へ移行しやすい状態であったりし注意が必要です。当科では皮膚科などの関連各科と連携しつつ、正確な診断の許、レーザー治療や薬物療法などの最新の治療を行います。
 

睡眠時無呼吸症(強いいびきや、昼間眠くてしょうがない方はご相談ください!

睡眠時無呼吸症候は医科疾患ではありますが、最近の研究からは顔や顎の形態と関連し発症し歯科的な治療法が有効なことが明らかとなっております。当科では、本院睡眠呼吸障害センターと連携し、日本睡眠学会歯科専門医による治療が受けられます。患者さんへの負担が少なく、持ち運びも容易な口腔内装置治療だけでなく、本邦で睡眠時無呼吸症候に対する本格的な顎顔面外科治療に対応できる数少ない施設の一つです。

実績

スタッフ紹介

科長・教授 松尾 朗(歯学博士)

専門分野:口腔外科学、インプラント学、睡眠歯科学
専門疾患:顎骨再建、顎変形症、顎顔面インプラント、睡眠時無呼吸症

  • 国際口腔顎顔面外科専門医(FIBCSOMS)
  • 日本口腔外科学会 専門医、指導医
  • 日本顎顔面インプラント学会 専門医、指導医
  • 日本口腔インプラント学会 専門医、指導医
  • 日本睡眠学会 認定歯科医
  • 日本有病者歯科医療学会 専門医、指導医
  • 日本癌がん治療認定機構 暫定教育医(歯科口腔外科)
  • 日本小児口腔外科学会指導医
  • 日本顎関節学会暫定指導医
 

助教 杉崎 リサ

  • 日本口腔外科学会 口腔外科認定医
  • 日本口腔科学会 認定医

医員 都丸 怜奈子

専門分野:口腔外科学、インプラント学
専門疾患:口腔外科一般、顎顔面インプラント 

  • 日本口腔外科学会 認定医 
  • 日本顎顔面インプラント学会 
  • 日本有病者歯科医療学会 
 

医員 寺門 博史

 

兼任講師 中島 仁一

専門分野:血液疾患ならびに感染症患者の口腔管理
専門疾患:血友病、白血病などの出血傾向対応、HIV/AIDSの口腔疾患対応
 

兼任講師 田中 みか子

  • 日本補綴歯科学会 専門医・指導医
 

兼任助教 小関 英邦

専門分野:口腔心身症(歯科心身症)専門疾患:口臭症、舌痛症、非定型顔面痛(慢性疼痛)
  • 日本歯科心身医学会 認定医・指導医
 

兼任助教 大場 英典

専門分野:口腔外科学・顎顔面インプラント
所属学会:日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会(認定医)

外来診療

*表は右にスクロールして見れます

◎:教授 ○:准教授 ◇:講師
外来担当医
松尾朗◎ 交代制 杉崎 リサ 松尾朗◎ 松尾朗◎ 杉崎 リサ
杉崎 リサ   寺門 博史 杉崎 リサ 都丸怜奈子 都丸怜奈子
寺門 博史     都丸怜奈子 寺門 博史 寺門 博史
      大場英典    

顎顔面インプラントセンター

外来担当医
松尾朗◎     松尾朗◎ 松尾朗◎  

「歯科口腔外科」の休診・代診
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 都丸 怜奈子
 寺門 博史

治療・成績

診療実績(2022年度)

1.外来患者数

    • 初診外来患者数 1,517名
    • 再診患者数 5,570名
    • 延患者数 7,087名

2.入院患者数

    • 新入院患者数 105名
    • 実患者数 126名
    • 取扱患者 688名
    • 平均在院日数 5.6日

治療成績(2020年度)

    • 口腔外科 111名
    • 外来新患者数 1,315名
    • 外来手術 1,017名

顎顔面インプラントセンター

インプラント治療とは?

医療においては、体内に植え込む器具を総称して「インプラント」と言いますが一般的に歯科で扱われるインプラントとは「人工歯根」の呼称です。インプラント治療とは、歯の失われた部分にチタン製の人工歯根を用いた歯を作り、咬合機能や審美機能の回復を図ることを言います。インプラント治療が従来の歯科修復物と根本的に異なる点は、体内(顎骨内に)に長期にわたり人工物を植え込み、また、それを植え込むための手術(埋入)を必要とする点です。現在、全世界のほとんどで使われている骨接合型インプラント(オッセオインテグレーションインプラント)は、成功すれば極めてすばらしい結果が得られることが科学的に証明されております。しかし、わが国で急速に進む超高齢化社会を反映し、インプラントを必要とする患者さんは中高年の方が多いため、全身状態に何らかの問題を有したり、顎骨の状態が極めて悪いことが多く、安心・安全なインプラント治療には、高度な診療体制および治療技術が必要です。
 

 

東京医科大学茨城医療センタ―で行うインプラント治療

医科大学病院でなくては出来ない、安心・安全で最新なインプラント治療を推進します。

    1. 国際基準に則った科学的なインプラント治療
    2. 有病高齢者や隣接臓器にも配慮した痛みのない安全なインプラント治療
    3. 埋入部の骨が不足したり高度の顎骨欠損を有する難症例に対し、さまざまな骨造成および
      骨再建法を用いた高度なインプラント治療
    4. コンピュータ支援手術や再生医療など最新の研究成果を応用したインプラント治療

 

高い成功率 ➡インプラント生着率98.8%(354/358例)

[当科の成績*]

 年度 手術数 骨移植併用 埋入本数 手術トラブル* インプラント脱落(抜去)**
2015 16 7 45 0 1
2016 13 9 40 0  
2017 14 4 24 0 3
2018 19 10 39 0  
2019 42 20 84 0  
2020 35 21 55 0  
2021 31 15 71 0  
170 86 358 0 4

*現体制となった20154月以降の成績を集計しています。 
**公益法人日本顎顔面インプラント学会「インプラント手術関連の重篤なトラブル」調査 2020年)に該当する現象を集計してます。
***インプラント周囲炎により脱落するか抜去を要した症例 

インプラントセンターにおける治療の流れ

1.全身状態の把握

インプラント治療を行う全ての患者さんに血液検査を施行します。問題点があれば、関連医科診療科と綿密に連携し問題点を解決します。

2.隣接臓器との関係の把握

CT、MRI等により埋入部の顎骨と上顎洞、顎関節、周囲神経、血管等との関係を精査し、必要あれば前処置を行います。

3.インプラントを埋入する土台である顎骨の精査

CTによる骨の量と質を診断し、適正な位置へのインプラント埋入をコンピュータシミュレーションソフトで解析します(症例2参照)。必要に応じ骨質に関し、さらに先端的な解析ソフトで詳細に解析します。

4.安全なインプラントの埋入

    • 手術器具や使用機材の感染防御態勢は院内の中央手術室と同一の基準で行われます。
    • 全身状態・手術侵襲などを考慮し、静脈内鎮静・全身麻酔による無痛治療を行います。
    • 難症例は最先端のコンピュータ支援手術を施行します(症例2参照)。

5.質の高い上部構造の作製

    • 振動数による客観的な骨癒合状態の評価により、適正な上部構造作製時期を決定します。
    • 難症例や顎骨欠損に対する顎補綴に対しては、日本補綴学会専門医が対応します。
    • インプラントを専門とする質の高いラボで上部構造が作製されます。

6.治療後の定期的なメインテナンス

    • 専属の衛生士による徹底的な口腔内の管理を行います。
    • インプラントだけでなく全身の状態も配慮し、その変化に応じた適切な管理が可能です。

Q&A

治療回数、期間、費用はどのくらいかかるの? 

インプラントを骨の中に植えると徐々に周囲の骨が密着し、2-6か月すると強固にインプラントと骨は癒合します。この状態をオッセオインテグレーション(Osseointegration)の獲得と言い、強い噛み合わせにも耐えられるようになります。当科では、オッセオインテグレーションの獲得をオステルという機器で計測し上部構造の作製時期を決定しており、インプラントの完成まで、3-12か月ほどの間に、最低7回の受診を必要とします。基本的な費用は1本43万円(消費税別)です。 
なお、さまざまな事情で完成までの時期が限られている方はご相談ください。即時埋入・負荷などの方法で、可能な限りご希望の時期までに完成させますが、ご要望に沿えないこともあります。 

  回数 期間 費用(消費税別)
診査・診断: 1回以上 約1か月 3万円
手術関連: 4回以上 2か月以上 インプラント埋入 20万円(1本)
      骨移植 3万~15万円
      鎮静・入院 3万~60万円
上部構造(補綴物)作製: 2回以上 1か月以上 固定性 16万~25万円(1本)
      義歯 40万円(片顎)~

*その他、手術用ガイドや仮歯等に別途費用がかかる場合があります。 

 

インプラントはどのくらい長く持つの?

オッセオインテグレーションインプラントは、多くの研究で5-10年間で95%以上の症例が生着すると言われており、当科でも、現体制となった20154月以降の7年間では98.8%の生着率が得られております。本タイプのインプラントは1965年に初めて患者さんの口の中に埋め込まれ、そこ方はお亡くなりになる2006年まで実に41年間インプラントが機能したことも良く知られており、一生涯使用することも可能です。なお、インプラントの長期成績に関しては、センター長が2005-2012年に手術を施行した症例では、生着率 97.0%、累積成功率93.%でした文献1)。現在国内外で多数のメーカーからインプラントシステムが開発・販売されておりますが、当科では①世界のどこででも修理や継続治療ができること。②過去のたくさんの治療実績に裏付けられたデーターがあること。③一つの企業にとらわれないこと。という3つの基準に従い、世界的に使用されるアストラテック、ノーベルバイオケア、ストローマン等、信頼できるインプラントシステムを現在使用しております。しかし、一旦お口の中で機能し始めたインプラントも、「インプラント周囲炎」と呼ばれ、歯周病と同じように周りの骨が解けて脱落に至ることもあります。清掃状態の悪い人や喫煙者(電子タバコを含む)はインプラント周囲炎になりやすく成功率が低くなることが科学的に証明されておりますのでご注意ください。
 

手術時間、術後の経過、また、どのような合併症リスクがあるの?  

手術所用時間は、1,2本の通常埋入ですと外来の局所麻酔で1時間程度、骨移植を行っても2時間以内には終了します。外科手術に伴う痛みや腫れは通常の抜歯手術と同様で、大半の症例では翌日から仕事に復帰でき、1週間程度でほとんどの症状は収まります。難症例や多数歯の埋入,歯科的な処置が苦手な方などは、医科病院の利点を生かし、日帰りおよび入院での静脈内鎮静や入院全身麻酔による無痛治療により患者さんの負担を減らすことが可能です。術後の合併症に関しては、日本顎顔面インプラント学会のインプラント手術に関連する重篤な医療トラブル調査で、上顎洞関連や神経障害などの有害事象が数多く報告されておりますが、2015年以来、当科で上記報告に該当する重大なトラブル事象はありません。最終補綴物完成後、噛む感覚が今までと異なる、食べ物が詰まりやすくなる、補綴物が一部破損する等の有害事象は時々見られますが、それらの症状は通常の歯科治療と同程度です。なお、インプラントも普通の歯と同様に歯周病になります(インプラント周囲炎と呼びます)。その状況は、患者さんの磨き方、全身状態、喫煙状況に影響されますので,定期的な術後の管理は欠かせません。通常は6か月ごとのチェックと清掃を行っております。 
 

他の歯科医院でインプラントができないと言われたけど・・・

近年、非常に安全な歯科治療の一つとなってきたインプラントですが、さまざまな理由で治療困難となることがあります。当科は、医科大学付属病院であるメリットを生かし、全身や上顎洞などの隣接臓器の問題を、耳鼻咽喉科、整形外科、代謝内分泌内科(糖尿病)など関連医科診療科と密に連携し治療を進めております文献3)。また、コンピュータ支援手術や腫瘍(癌)や外傷により顎が大きく欠損した症例に対し、細胞増殖因子やトレーなどを使用した再建法と、その後のインプラント治療に関する先端研究を行っており文献2)、これらの技術を通常のインプラント治療にも積極的に応用しております。上顎洞底挙上術(サイナスリフト、ソケットリフト)、べニアグラフト、スプリットクレスト、吸収性メンブレン、人工骨など、一人一人に合わせた最適な骨造成テクニックを用い、最小限の侵襲で長期間インプラントを支持することが可能な良質な骨を作ることができ、骨造成(骨移植)や骨再建を行う難症例でも通常のインプラントと同様の成功率が得られております文献1)。 

症例

1:他院で過去に埋入したインプラントの再治療

52歳、女性の患者さんです。20年ほど前に埋入したインプラントはすでに破損し使用できず、その上に義歯入れたものの使用できず当院初診となりました。入院全身麻酔下でインプラント除去、抜歯、新たに上顎6本、下顎4本のインプラントを埋入を同時に行い、骨の造成は周囲の骨から最小限の侵襲で施行しました。術後に大きな合併症はなく2日後に退院しました。4か月後に2次手術を行い、術後7か月で上下顎とも固定性のブリッジタイプの上部構造が完成しました。 

 

2:コンピューター支援手術(CAS)で安全にインプラント治療

62 歳、男性で、上顎歯の揺れを訴えて当科初診となった。右上5番の歯根が破折し、それが原因で歯性の蓄膿症になっていたため、抜歯と投薬により3か月後には蓄膿症は改善しました。インプラントを希望しましたが,埋入予定部の骨が薄かったため、垂直的な上顎洞底挙上術(ソケットリフト)にてインプラント埋入しました。手術は静脈内鎮静下で行い、ヘッドマウントモニターを用いたVR(バーチャルリアリティ)手術で、直視できない上顎骨内はナビゲーションで上顎洞内面は内視鏡で可視化しながら安全に施行しました。上下顎とも固定性のブリッジタイプの上部構造を作製したが、術後のCTではインプラント周囲はしっかり骨で覆われています。 

 

3:腫瘍で大きく欠損した下顎骨を再生しインプラント治療

38歳、女性で、下顎骨にできた大きなエナメル上皮腫と言う腫瘍(A)を含む下顎骨を切除し、欠損した部分にチタン製のトレーと海綿腸骨、細胞増殖因子である多血小板血漿により顎骨を再建し(B)、十分な骨が形成された(C)。その後、歯の欠損に対し(D)5本のインプラントを埋入し咬合機能を回復した(E)。術後15年の現在、インプラント周囲の骨に吸収もなく良好に経過しています(F)。本例の様に大きく骨が欠損した症例は、現在では保険診療が可能です。

 

当科における最先端研究の成果

  1. Matsuo A, Hamada H, et al.: Long-term structural changes and outcomes of implants in particulate cellular bone and marrow reconstructed jawbone. Clinical Implant Dentistly and Related Research.2019
  2. Matsuo A, Hamada H, et al.: Virtual reality endoscopic-assisted implant surgery using a head mount display. British J JOMS, 2018
  3. Matsuo A, Hamada H, et. al.: Evaluation of dental implants as a risk factor for the development of bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw in breast cancer patients. Odontology, 2015

センター長

松尾朗 教授:国際口腔外科専門医(FIBCSOMS)

    • 日本口腔インプラント学会指導医・専門医
    • 日本顎顔面インプラント学会指医・専門医
    • 日本口腔外科学会専門医・指導医
    • 日本有病者歯科医療学会専門医・指導医

主な協力医科診療科

耳鼻咽喉科(大塚康司教授):上顎洞関連
整形外科(石井朝夫教授):骨粗鬆症関連
循環器内科(東谷迪昭准教授):抗血栓薬投与などの循環器疾患関連
代謝内分泌内科(桂善也教授):糖尿病
禁煙外来(小松靖助教):喫煙者に対する禁煙指導

外来診療日

初診受付:月・木・金 午前9:00-11:00(祝日を除く)

患者さんへ

  • 診療は歯科口腔外科外来で行っております。
  • インプラント治療は基本的に自費診療になります(Q&A参照)。初診時の私費診療費は5000円(消費税別)です。また、紹介状をお持ちでない方は、特定病院における選定療養費としてさらに7,700円(税込)が加算されます
  • 天然歯に関する治療や口腔清掃は、基本的にかかりつけ歯科医で行います。
  • 腫瘍(癌)や外傷で大きく顎骨欠損されている方は保険適応となる場合があります。担当医にご相談ください。

医療機関の方々へ

  • インプラント埋入のみの依頼も可能です。(基本は当院使用インプラントシステムですが、貴院使用システムによる埋入も検討可能ですご相談ください。)全例に埋入結果のデータシートを添付します。(データーシートの内容:全身検査データー 、コンピューターシミュレーション結果、埋入部骨質評価、埋入後レントゲン写真 、埋入時、最終評価時ISQ値)
  • 症例相談受け付けます。まずは、メールにてご依頼ください。必要な場合は、有料ですが当院でのコンピューターソフトを使用した解析支援およびZOOM等による相談を受け付けます。